トヨタ・カローラ 海外の評価、ひと味違う 中国/アメリカ/東南アでの歴史と立ち位置
公開 : 2019.09.17 19:15 更新 : 2021.01.28 16:58
カローラ販売 アメリカは50年以上の歴史
海外への輸出はデビューした1966年に早くも始まっており、豪州の次に北米への輸出も開始されている。
アメリカで売れている乗用車と言えば、トヨタ・カムリがほぼ毎年トップ、これにカローラ、ホンダ・シビック、ホンダ・アコードが続く。
くわえてトヨタRAV4、ホンダCR-V、日産ローグなどの日本製SUVが入り乱れて上位争いを繰り広げている。
近年はRAV4人気が高く、2018年には42万7000台を販売し、SUV/乗用車部門で堂々1位となっている。
セダンボディの新型カローラは、アメリカでも中国と同時期となる2018年11月のLAショーで発表された。
2018年では乗用車としてはカムリ、シビックに続く3位だったのが、新型カローラの販売が本格化してきた2019年5〜6月頃からぐいぐいと販売台数を伸ばし始めた。
7月には前年同月比+14.5%でついに3万台を突破し、シビックもカムリも抜いてセダン系車種の1位を獲得している。
「アメリカでカローラが人気なのは燃費によるところが大きい」とされているが、それだけではない。
確かに、1990年代後半には1ガロン=1ドル以下で、「水より安い」と言われていたガソリンが2000年に入ると4倍以上に高騰。ここ数年は1ガロン3ドル前後で落ち着いているが、それでもかつての3倍以上。
さすがのアメリカ人も燃費を気にするようになった事実はあるだろう。
くわえて、絶対的信頼度の高い品質、そしてパーツ供給の速さも特筆すべきものがある。米国トヨタでは全米のほぼすべてのエリアで、部品を注文するとアメリカ国内に在庫があれば2日以内に届く仕組みを2016年頃から確立している。
日本では当たり前のように思うかもしれないが、国土が日本の約25倍もあるアメリカではすごい事なのだ。
ちなみに20〜30年前のカローラと言えば、アメリカでは低所得層の移民が乗るクルマとしてもおなじみらしい。
選ぶ理由はずばり「古くても壊れない。壊れても自分たちで直せる」ことだそう。
東南ア、カローラ=クルマ好きの贅沢車?
タイ、インドネシアではとくに日本車率が高く95%前後を維持している。中でも特にトヨタ車の人気が高い。
しかし、主流はトヨタ・アバンザに代表される3列シートの7人乗り小型ミニバンで、タイやインドネシアでは、国民車と言えるほど圧倒的な支持を受けている。
そのような中、5人乗りセダンに乗っている人たちは「お金持ち」と認識されており、代表的車種であるカローラセダンに憧れる若者も多い。
ちなみに、東南アジアではカローラ(セダン)=トヨタ・アルティスの車名で販売されている。
アルティスと言えば日本ではカムリのOEMでダイハツ・アルティスがあるが中身は別物である。
インドネシアでは「カロリスト」と名乗る、熱狂的なカローラオーナーによるクラブ活動も活発だ。
「ALTIC」というクラブがその筆頭。2010年にわずか4名のカローラオーナーからスタートした倶楽部は現在1000人近いメンバーが在籍している。
日本では「実用車」のイメージが強くセダンボディのカローラをチューニングしたりカスタムしたりして乗ろうという人は少数派だと思われるが、国が変われば事情も異なるのだろう。親子2世代で20年30年乗り継いでいるという人も多い。
そしてこのクラブのスローガンは「not just brotherhood, we are family (仲間というだけではない、わたしたちは『家族』だ)」
これだけでも「アツさ」が伝わってくる。