フェラーリ初のSUV、2022年発表予定 最高技術責任者が告白 ジレンマ克服へ
公開 : 2019.09.18 10:20 更新 : 2019.09.19 20:49
ロード(路上)の目、ストリート(路地)の手
「SF90は、非常に多くの革新技術を投入した新たしいクルマです。ここから、多くのモデルへと展開されていくでしょう。ですが、SUV開発の課題はまったく異なるものも含まれています。イノベーションも必要とされ、組織としても多くの学びがありました」とSF90から派生する技術だけでなく、「プロサングエ」の特徴でもあるイノベーションについても言及した。
またこの「プロサングエ」という名前は、今後4年間に発表されるであろう、新しいグランドアラー・モデルの、ほかのモデルにも用いられるようだ。その中にはGTC4ルッソの後継モデルも含まれているが、開発中のSUVとは切り離された存在でもあるという。
SUVを含める新しいフェラーリ製グランドツアラーには、「ロード(路上)の目、ストリート(路地)の手」という新しいアプローチのインテリアデザインが採用される。新デザインのステアリングホイールにインフォテインメント・システム、ヘッドアップ・ディスプレイ、インスツルメントなどに加えて、エアコンなどの操作系やリアシートのエンターテインメント、乗降性の向上なども盛り込まれている。
エンジニアリング面で取り組んでいる課題についても触れたレイターズ。「広いだけでなく、人間工学に基づいた快適で安楽な空間を生み出すには何が必要でしょう? スポーティでありながら、快適性にも重点を置いたデザインとは? ヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)のより民主化された理想とは。ほんとうの意味での快適性とは。フェラーリの純粋なDNAを備えた快適性とは何でしょう?」
エンジニアと生み出す最適なプロポーション
「それが取り組むべき課題であり、面白さでもあります。それぞれの概念は近いところにありますが、開発では製品レンジの広がりを構築し、異なるモデルを生み出すことを目指しているのです。V6エンジンとV12エンジンの登場も、明言はできませんが、想定しています。わたしの仕事は新しいモデルの可能性を示すこと。そして市場ニーズを聞くことです」
「お客様の求める機能性は異なります。どれだけの広さが必要なのか。6気筒や8気筒が必要なのか。ホイールベースは長い方が良いのか。そこでV6、V8、V12エンジンを用意し、フロント・ミドシップかミドシップかを選べ、ハイブリッドの有無や駆動方式、シートレイアウトなど幅広い可能性を準備しています。ホイールベースの長さも自由です。最小限の影響で、ドライブトレインやレイアウトを変更できるのです」とレイターズ。
フェラーリのデザイン部門の主任、フラビオ・マンツォーニによれば、ブランドとしても物議を醸しだすであろうSUVのために、デザイナーは当初からエンジニアリング部門とともに仕事を進め、より最適なプロポーションを目指してきたという。「最初のステップで、クルマのデザインが定義されますが、エンジニアと協力をしながら方向性を決めていきます。プロポーションとボディサイズを決定することで、優れたデザインのベースが生まれるのです。それはSUVの場合でも同様です」
「SUVは多くのモデルの中での派生車種です。デザイナーは技術要件での制約をクリアしなければなりません。フェラーリの場合、妥協は許されないのです。エンジニアと一緒にデザインを進めなければ、パッケージの決定段階で問題が発生します。新しいプロジェクトを始める時は、(他部署との)コラボレーションを推奨しています」と話すマンツォーニ。どんなエクステリアとインテリアのデザインを持つのか、今から非常に楽しみだ。