ロードテスト フォード・フォーカスST ★★★★★★★★☆☆
公開 : 2019.09.21 11:50 更新 : 2019.09.26 00:08
内装 ★★★★★★★★☆☆
このキャビン、見た目と感覚の不一致がかなり大きい。自動的にエッジプロテクターが飛び出すようになったドアを開けると、ダークな色合いのプラスティックが多くを占めるモノクロームの世界が目に飛び込んでくる。固いものも柔らかいものもあるが、どれも出来栄えはいい。いっぽう、革はわずかだ。
赤いSTロゴは各部に散りばめられ、スカッフプレートにはフォード・パフォーマンスの名が記される。クローム仕上げのシフトノブは、頂上に刻まれたHパターンが赤く染められている。
それでも、ホンダなどのライバルに比べれば、それほど攻撃的でハードコアな雰囲気はない。物足りないという声もありそうだが、もともとフォードはこの手のクルマでもベースモデルとインテリアをガラリと変えるようなことをしない。少なくとも、見栄えは悪くない。
ところが、視覚的な部分を無視すると話は違ってくる。ハーフレザーのレカロはフィエスタSTのそれよりシートバックが広がり、快適性についてのみいえば発展した。
それでもサイドサポートは大きく張り出し、本格的なバケットっぽさは薄いだものの、本気度は高く感じられ、あばらや太ももを両脇からしっかり支えるが、ガッチリ押さえつける感じではない。さらにいえば、フォードのホットモデルの伝統を覆し、座面が高すぎない。
リムの太いステアリングホイールは革巻きで、両サイドは滑りにくいディンプル加工が施される。ペダルの配置は間隔がバッチリ決まっていて、自動ブリッピングを使いたくないドライバーでも満足できるはずだ。
そう、見た目はハードではないのだが、フィーリングはなかなか硬派。強いていえば、ステアリングのテレスコピックはもう少し調整幅を広くとってほしかった。
この手のクルマには重要なことだが、実用性も高く、ベースモデルに比べ狭くなっているようなことはない。ホイールベースを延長した新開発のC2プラットフォームにより、後席レッグスペースはクラス最高レベルだ。