ロードテスト フォード・フォーカスST ★★★★★★★★☆☆

公開 : 2019.09.21 11:50  更新 : 2019.09.26 00:08

操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆

フォーカスSTの運動性のキャラクターは、走り出せばすぐわかる。ステアリングを切った途端、フェラーリ488GTBさえ凌ぐほど強烈にクイックな11.6:1のギアレシオは、ほとんど瞬間的な前輪のレスポンスを示すだけでなく、このクラスのホットハッチでも俊敏さや俊足ぶりで最高レベルにあることを教えるのだ。

確かに、ハンドリングのスタビリティや絶対的な速さでは、シビックRと同じレベルとはいかないかもしれない。しかし、電子制御LSDやハイグリップなパイロットスポーツ4Sなどシャシーの追加要素は、コーナリング中の驚異的なレベルのグリップと安定性をもたらす。

ハンドリングは演出過多。もっとナチュラルであってほしかった。
ハンドリングは演出過多。もっとナチュラルであってほしかった。    LUC LACEY

サスペンションは、ダンパーをもっともソフトなモードにしているときでさえ、高速コーナリング中でもロールやピッチを抑えてコントロールする。タイヤは、すばらしく安心感があり自信を持てる足取りを生み、このクルマの限界を探ろうという気にさせてくれる。

そんな冒険を楽しみたいなら、ベストなセッティングがトラックモードであることは疑うべくもない。即座に切れ込むターンインは鋭さを増し、アペックスをさらに暑く捉えようとする。

さらに印象深いのが、フォードのエンジニアたちが、これほど元気なハンドリングを実現しながら、それを過激すぎないものに仕立てていることだ。バンプステアや路面の干渉にうまく抗い、デフはアグレッシブすぎることなくかなり効果的に働く。ルノーメガーヌR.S.のようなハードコアなクルマほどにはドライバーをヒートアップさせないが、我に返ったときに気分が萎えるようなこともない。

とはいえ、フォーカスSTの運動能力には明らかに、演出過多な要素の見られるハンドリングのキャラクターが介在し、それを問題視するテスターがいたことも事実だ。その元凶はステアリングにある。

それが、このフォーカスにクラス最高水準のアジリティを与えている要素であるのも確かだが、過剰な反応ぶりが時として、あまりにも不自然で嘘くさく感じられるのだ。おそらく、もっとありのままのフィールが感じられれば、この状況は改善できただろう。

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