フォルクスワーゲンのEV ID.Rの挑戦 中国天文山でのレコードアタック秘話 前編
公開 : 2019.10.05 20:50
過酷な道での狂気の挑戦
張家界市の近郊に位置し、北京から南西におよそ1500km離れたところにあり、一年を通して多くの観光客が訪れている。フォルクスワーゲンは地元当局と協議の上、今後のアタックでも使えるようにスタートおよびゴール地点を設定したとのことだ。
打ち破るべき公式タイムこそ存在しなかったが、フォルクスワーゲンはID.Rのポテンシャルを最大限に発揮することを目標としていた。当初はこの複雑なコースでどの程度のタイムが出るか予想もつかなかったという。
フォルクスワーゲン・モータースポーツの技術開発を統括するフランソワ-ザビエル・デメソンは「エンジニアは皆新たな挑戦が好物であり、これは非常に大きなチャレンジでした。ここはモンテ・カルロ・ラリーにも似たコースであり、ここをスポーツ・プロトタイプで走らせるのは狂気の沙汰でした。しかしエンジニアは往々にして狂っているものです」と振り返る。
フォルクスワーゲンのモータースポーツチームは昨年後半にもここを訪れ、走行動画を撮影するとともにトラックロガーによるデータ採取も行なっている。いくつかのコーナーでは、実際にメジャーを使ってID.Rが曲がり切れることを確認までしたという。最もきついのはレイヤー・ケークと名付けられたセクションにある88番コーナーで、その半径はおよそ6mしかなかった。ステアリングの切れ角こそ変更しなかったが、プラクティスの結果パワーステアリングのアシスト量を増やすことになったとのことだ。