新ランドローバー・ディフェンダー発表 カタチにならなかったプロジェクト
公開 : 2019.09.23 14:50 更新 : 2022.08.08 07:54
20年前に描いたディフェンダーの姿
1998年の半ばに次期ディフェンダーのプロジェクトは終了するが、エンジニアは自主的に活動を続けた。実験車両と貴重な開発図面は、教育研究の記録として博物館へ寄贈しようとするものの、BMWによって叶わなかった。BMWはロールス・ロイス・ブランドで、アルミニウムを用いた製造技術を活用したいと考えたようだ。
その後、2002年に誕生したMGローバー社は2005年という短期間で倒産してしまった。有望なプロジェクトが実らなかったことは悲しい結末だったといえる。しかし、4台製造された実走行車両と、3台の衝突試験用車両のうち、2台がいまも現存していることが嬉しい。この英国自動車博物館に残されているLCV2/3の1台のほかに、初期のLCV2は英国南部、ダンスフォールのコレクターが所有している。
2台ともに新しいディフェンダーへ直接的な影響は与えなかったことは事実。それでも生まれ変わったモデルを見ると、このプロトタイプが正しい方向性を示していたということに感銘を受ける。20年もの間が空いているのだから。
このプロジェクトが継続されていたら、ランドローバーからどんなクルマが生まれていたのだろうか。象徴ともいえるディフェンダーの開発に関わり、いまもそのクルマが生き続けていることは、当時のエンジニアも誇りに感じているに違いない。
番外編:次期ディフェンダー・プロジェクト
1991年「チャレンジャー」
チャレンジャーというプログラム名で、3台の走行可能なプロトタイプが作られた。2台はステーションワゴンで、1台は軍事用のピックアップトラック。そのうちのピックアップはいまも残っている。
ディスカバリーのシャシーを利用して設計されたが、軍需目的としては構造が複雑過ぎると判断された。同時に古いディフェンダー・ファンからはエクステリアデザインの支持が得られず、このプロジェクトはキャンセルされた。
1999年「SVXコンセプト」
1999年のフランクフルト・モーターショーで発表された。悪路走破性を高めるトラクション・コントロールやヒルディセント・コントロール、クロスアクスル・デフロックなどを装備し、近代性を高めたディフェンダーのプロトタイプだった。
しかし実際は機能しない、コンセプトモデル。大きな20インチホイールを履いたタイヤは、最小回転半径に良い影響はなかったはずだ。
2011年「DC100」
ディスカバリー・ベースの次期ディフェンダーを示唆したもう一台のコンセプトモデル。ショートボディの3ドア・エステートに、オープントップ・ボディも検討されており、エンジンはV型8気筒。
ディフェンダーにはならなかったが、リストバンドのように腕に装着できる防水アクティビティキーなど、後のJLR社のモデルに取り入れられた新機能の提案がされていた。