これ以上が思い浮かばない アストン マーティンDBSヴォランテに試乗
公開 : 2019.09.25 09:50 更新 : 2022.11.16 09:29
オープン状態でV12のサウンドを享受する
+2とはいえリアシートも付いているから、今回はDBSに大人4名を座らせてみた。ドライバーがステアリングホイールに近い位置に座れば、リアシートに大人が座ることもできるようだ。オープン状態なら頭上空間はもちろん問題ない。
握りの良いステアリングホイール上から、サスペンションの硬さやエンジン、トランスミッション、エグゾーストの性格付けを選択できる。サスペンションは、衝撃吸収性も良くボディコントロール性にも優れた、最も柔らかい状態が一般道にピッタリだった。
DBSスーパーレジェーラはスーパー・グランドツアラーだが、コンバーチブルだと、常にハイスピードを求める必要性も感じられない。ステアリングへ振動が伝わってくることはないが、フロントガラス上部のリアミラーは、時々小さな振動を起こしてしまう。
一方でエンジンの設定は、ドライバーがパドルを弾いて変速している限り、最も荒々しい状態が望ましいようだ。トランスミッションはAT任せだと、サーキットでラップタイム計測をしているかのように、迷惑に感じるほど低い段数を選んでしまう。
楽しさを最も享受できる状態は、オープンの状態でV型12気筒の発する中回転域のノイズを直接味わうとき。余剰なガソリンが発する低音は、聞いていて満足感が高い。気温の温かい夜に、郊外の空いた道でのドライブは特別なものに違いない。
日常利用できつつ週末旅行も楽しめる
もちろんハンドリングも良い。DBSヴォランテをサーキットで走らせるドライバーはいないだろうが、落ち着きとバランス性に優れており、正確なステアリングは重さもレシオも適正。FRのクルマとして、ベストと呼べる振る舞いを示してくれる。
アストン マーティンDBSスーパーレジェーラ・ヴォランテの客観的な評価はなかなか難しい。コンパクト・ハッチバックを何台か集めて、価格と車内の広を比較するのなら、結果は簡単に出る。しかし、DBSの場合はもっと主観的に楽しむクルマだ。
この価格帯なら、たとえばV型12気筒の音響を楽しみたいという理由で選んでも良いし、FRの磨き込まれたシャシー性能で欲しても良い。モデル・ラインナップの中で一番高いという理由で選ばれるクルマでもある。理由は問わず、DBSならハイスピードでのクルージングと、聞き惚れるエグゾーストノートが確実に手に入る。
それ以上に2人でラグジュアリーな週末旅行を楽しめつつ、日常的に乗れる最高のクルマを選べと問われたら、ディーラーで手に入るモデルの中では、アストン マーティンDBSスーパーレジェーラ・ヴォランテ以上は思い浮かばない。これなら客観的な評価といえるだろうか。
アストン マーティンDBSスーパーレジェーラ・ヴォランテのスペック
価格:24万7500ポンド(3217万円)
全長:4712mm
全幅:1968mm
全高:1280mm(クーペボディ)
最高速度:339km/h
0-100km/h加速:3.4秒
燃費:7.1km/L
CO2排出量:295g/km
車両重量:1863kg
パワートレイン:V型12気筒5204ccツインターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:725ps/6500rpm
最大トルク:91.4kg-m/1800−5000rpm
ギアボックス:8速オートマティック