控えめでも着実な進化 150ps 2.0Lガソリン アウディA4 35TFSIスポーツに試乗
公開 : 2019.09.26 09:50
活発で滑らかな2.0Lガソリンターボ
走り出すと、2.0Lのガソリンターボは滑らかに不足のないパワーを発揮してくれる。ドライバビリティも、トップレベルではないにしろ、充分に評価できる。アクセルペダルを深く踏み込めば、クルマは不満のないレスポンスで速度を増し、7速デュアルクラッチATは、激しい加速が必要な場面でも滑らかに仕事をこなす。
トランスミッションは高いギアを選びたがる傾向がある。カーブの脱出時や静止状態から力強く加速させたい場面では、少しもたついた印象を受けてしまった。シフトパドルを弾いてマニュアル操作をすれば、段数の選択も直接行えるから、速いペースでも不満を感じることは少なくなる。だが、常にマニュアルで操作したいとも感じないだろう。
ガソリンターボエンジンは4気筒ディーゼルエンジンから乗り換えたドライバーだけでなく、ライバルモデルのガソリンエンジンと比較しても、滑らかで静かに感じられるはず。試乗距離は長くはなかったが、高速道路を巡航した区間と、速いペースを保って走った区間とを混ぜても、燃費は14.1km/Lを超えていた。
操縦性は安定感があり、動きもリニアで正確。ステアリングホイールを切った際の反応も機敏すぎることはなく、重みも適正だ。センター付近での直進性とフィーリングも良い。A4は特段機敏さを強みにしているクルマではないが、素直でとても運転がしやすいと感じる。
完璧なパッケージングにアウディらしい魅力
標準の固定式のサスペンションと控えめなホイールサイズの組み合わせでも、とても静寂感が高く、快適な乗り心地を提供してくれる。低速域でも高速域でも、路面からの入力の吸収性はとても優れている。もしアダプティブ・ダンパーがお望みなら、「フォーシュプルング」グレードを選ぶ必要がある。
これまでの経験的に、Sラインやブラックエディションなどに装備されるスポーツサスペンションは、さほどドライバーへの見返りは大きくないと思われる。反面、乗り心地が若干悪化する可能性は否定できない。
A4を購入するほとんどのドライバーが期待するであろう、日常的に優れた燃費や、クルマに求める内容を考えれば、35TFSIは賢い選択だといえる。しっかり煮詰められ装備も充実し、実用的で、必要ならば充分に活発に走ることもできる。
運転のエキサイティングさは変わらないが、フェイスリフトによって印象や訴求力の高さは、わずかとはいえ高まった。必ずしも重要な要素ではないにしろ、無視できない内容を着実に良くしている。A4の完璧なまでのパッケージングとアウディらしい魅力に溢れた仕上がりは、ドライバーズカーとしての面白さで物足りないとしても、高い支持を得るに違いない。
アウディA4 35TFSIスポーツSトロニックのスペック
価格:3万3975ポンド(441万円)
全長:4726mm
全幅:1842mm
全高:1427mm
最高速度:225km/h
0-100km/h加速:8.9秒
燃費:14.9km/L(WLTP複合)
CO2排出量:−
乾燥重量:1440kg
パワートレイン:直列4気筒1984ccターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:150ps/3900−6000rpm
最大トルク:27.4kg-m/1350−3900rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック