現状の最高EV ポルシェ・タイカン・ターボS 4ドアポルシェで1番の楽しさ

公開 : 2019.09.27 09:50  更新 : 2021.02.10 17:27

本物のポルシェらしい運転感覚

バッテリーは、最大270kWの800V充電器なら、20分ちょっとの時間で5%の残量から80%まで蓄電できるという。フォルクスワーゲン・グループやBMWフォードなどによる合弁企業、イオニティ社の急速充電器は350kWの出力を持つという話もあったが、現状でクルマが許容するのは250kW+のようだ。ただし、ポルシェの情報によれば追って350kWに対応する可能性は充分にある。

反面、一般的な電圧400Vの充電器での受電容量は50kWに留まり、150kWの容量に対応させるには、294ポンド(4万円)のオプションを追加する必要がある。高出力の充電器に対応させるためにオプションの選択が必要としているメーカーはポルシェだけではないものの、賢明な設定ではないと思う。EVの本当の可能性に誤解を与えてしまうのではないだろうか。

 ポルシェ・タイカン・ターボS
ポルシェ・タイカン・ターボS

今回の試乗ではタイカンをルートの中ほどで充電させた。航続距離はテスラモデルSをより短いが、時々ペースを速めた運転をしても、スペック通りの距離は走れそうだ。

タイカンのドライビングフィールは、本物のポルシェらしい。ドライビングポジションも、いつものポルシェで違和感がない。着座位置は低く左右のオフセットもなく、ステアリングホイールは小ぶり。定員は標準が4名で、オプションで5名にもできる。

リアシートでも足周りや頭周りは広く、ボディのフロントとリアにはラゲッジスペースが用意されている。組み立て品質も素晴らしく、素材も非常に上質。インフォテインメント・システムやインストゥルメント・パネルはクリアで、ドライブ・オプションも明瞭。すべてがドライバーに焦点が合わされている。

パナメーラカイエンより運転が楽しい

ペダルやステアリングの操作時の重さも適切。カイエンや911 GT2に至るまでのポルシェと同様に、操作したぶんだけ、適切に反応する。ステアリングを切れば、シャープで正確に反応する。スロットルやブレーキペダルを踏めば、思い描いたとおりに走り、止まる。

ドライバーズカーとしても最高の仕上がりの1台だといっていい。エンジンを積んだクルマでは他にも候補はあるが、EVでは希有だ。

 ポルシェ・タイカン・ターボS
ポルシェ・タイカン・ターボS

サスペンションは、現状ではエアサスが標準。追って追加されるベーシックグレードには、コイルスプリングが装備され、後輪駆動版も出るとのこと。ポルシェ自慢のシャシー・コントロールやスタビリティ・コントロール・システムも搭載されている。

タイカンの乗り心地は、21インチのホイールを履いていても良好。街なかの段差や路面の欠けを通過しても、現状では最も乗り心地の良いEVだと感じた。車重は2305kgもあるが、処理しきれないような素振りも見せない。

SUVとは異なり、バッテリーの搭載位置もあって極めて低重心。パナメーラでも同様だが、ポルシェは大きなタイヤを履いた大きなクルマでも、望外にエキサイティングな走りができるように仕上げる力を持っている。

ボディコントロールは引き締まっており、ステアリングのレスポンスも良好。グリップの限界値は、公道では届かないところ。そしてすべてが高次元でバランスされている。モデルSやジャガーIペイスアウディEトロンだけでなく、パナメーラやカイエンなどよりも、運転が楽しい。

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