ロードテスト アウディS4 ★★★★★★★★☆☆
公開 : 2019.09.28 11:50
結論 ★★★★★★★★☆☆
結局、このディーゼル版S4は、どういった類のパフォーマンスカーなのか。歴代S4は、常に際立った、夢中になれるドライバーズカーではなかった。
しかし、今回はそれが変化した。このS4は従来より圧倒的に速く、洗練され、技術面では先進的な長距離クルーザーだ。よく計算されたクルマだと思う。
熟考してみても、これはかなり説得力のある一台だ。キャビンはその作りも仕上げも、容易にクラスベストへ躍り出るレベルにある。V6ディーゼルはポテンシャル満点で、素晴らしく洗練されていて、燃費性能にも優れる。ハンドリングはきわめて安心感があり、路面コンディションを問わない。
それでも、このS4がやはり最高に味わい深く夢中になれるドライバーズカーではなかったといっても、驚きはないだろう。しかし、ディーゼルエンジンの採用によるポジションの見直しに関しては、以前ほど疑問視されることはなくなった。
事実、注目されるのはこれが心惹かれる新たなニッチモデルなのかどうかという点だ。ガソリン版S4が発売されないことを嘆く欧州のユーザーもいるだろう。だが、この新たなディーゼルモデルは、コンパクトで日常使いできるアウディSモデルの、興味深い新たなチャプターを成功裏に開くこととなるだろう。
担当テスターのアドバイス
マット・ソーンダース
S4をディーゼルにしたことは、合理的な判断だと思う。とくに、RS4の入る余地を残しながらS4が発展するには。しかし、かつてのような荒っぽく仰々しいV8が恋しいのも正直な気持ちだ。Sモデルが賢明なクルマになった今、RSモデルはもっとワイルドになってほしいものだ。
サイモン・デイヴィス
近く追加されるヴォルスプラング仕様は、アダプティブダンパーが標準装備される予定だ。アウディでは、下位モデルへのオプション設定を決めかねているが、いずれ用意されることを確信している。
オプション追加のアドバイス
最上位グレードでしか、サスペンションやドライブトレインのオプションを用意しないのはあんまりだ。1年ほど待てば状況が変わり、望む仕様を今より安価に手に入れられるようになるかもしれないが。
改善してほしいポイント
・低速域での、トランスミッションのレスポンスを改善してほしい。
・ブレーキフィールはオーバーアシスト気味。唐突な効き方は市街地走行でのストレスの種になるので、なくしてほしい。
・筋金入りのエンスージァストに売り込みたいなら、テールパイプは変えた方がいい。