クルマのアンテナ、大きく進化 手で伸ばした時代から埋込式へ 今後はボディがアンテナに?
公開 : 2019.09.27 11:49
ドルフィン/シャークフィンに 今後は?
現在、最も進化したアンテナが2001年に発表されたBMWの4代目7シリーズに装着されたヒレ上のアンテナだ。
その形状から「ドルフィンアンテナ」とか「シャークフィンアンテナ」と呼ばれている。
最新のドルフィンアンテナでは、ラジオだけでなく、リモコンキーの電波、カーナビゲーションのGPS、テレマティクスなど、さまざまなワイヤレス通信を受信する「インテリジェント・アンテナ」となっている。
では、この先クルマのアンテナはどう進化していくのだろうか。
デザイナーや技術者からすれば、デザインに影響し、空力や騒音の面でも問題になるアンテナはない方がいい。
そう考えれば、アンテナは低く目立たなくなり、将来的には外からは見えないウインドウアンテナの進化形になっていくはず。
例えばコンチネンタルなどのサプライヤーでは、さまざまなアンテナをモジュール化したものを開発中だ。こうした新世代のアンテナはボディ内に組み込まれ、アンテナとしては突起しなくなる。
つまり、クルマのボディ全体がアンテナのようになっていくのではないかと思われる。
番外編:バブル象徴? ブーメランアンテナ
さて、話を1990年前後のバブル景気のころに戻そう。
バブルを象徴するアイテムのひとつが「自動車電話」だった。
そしてクルマに電話を装着した証しとして、トランクリッドには自動車電話用アンテナが目立っていた。
少し太めの黒い樹脂製のアンテナで、先端にはオレンジ色のマーカーが付けられていた。
当時、このアンテナ付きのクルマ=自動車電話装着車に憧れるものの、予算的に無理だからアンテナだけを取り付けて見栄を張る、なんて人も多く見かけた。
また、自動車電話用アンテナやカーTV用アンテナとして、トランクリッドの中央にブーメラン型のアンテナを装着するのも流行した。
アメリカのストレッチリムジンあたりが装着したのが始まりのようだが、黒い自動車電話用アンテナ同様、これもバブルを象徴するアイテムとして、メルセデス・ベンツのSクラスやトヨタ・セルシオといったセダンのトランクリッド中央にそびえていた。
クルマでも電車でも、どこでも手軽にスマホが使えるようになった現代。もはや、黒いアンテナもブーメランアンテナも、まず見かけることはなくなってしまった。
それでも、ごくたまに中古車販売店に並んだクルマや、街を走っている古いリムジンにブーメランアンテナが付いている光景を見ることがある。そんなときにバブルの頃を思い出すのは、もはや年配層だけか。
ブーメランアンテナは、まさにバブルの象徴のひとつだったのだ。