ランボルギーニ・ウラカン・ペルフォルマンテ サンターガタへの帰還 前編
公開 : 2019.11.09 08:50
幅広い能力
最新のエンジニアリングは、この21万5000ポンド(2852万円)のプライスタグを掲げたペルフォルマンテのような、コーティングされたチタニウム製コンロッドを持つサーキット専用モデルでさえ、グランドツーリングにも対応可能な幅広い能力を与えることに成功している。
独立したカップホルダーやドアポケット、さらにはグローブボックスさえ持たない(意図的だろうか?)にもかかわらず、このクルマがニュルブルクリンクの最速ラップを更新したことを考えれば、これまでのところその乗り心地は称賛すべきものだ。
さらに、ボディ外側の3色ストライプに合わせた見事なステッチを持つレザーのバケットシートの快適性にも驚かされた。
ペルフォルマンテのエグゾーストバルブを閉じると、このクルマを乗せてユーロトンネルを横断するカートレインは、世界でもっとも長く、野性的なオーストラリアの民族楽器、ディジュリドゥへと姿を変えたが、同時にペルフォルマンテにも節度がもたらされたようだ。
このクルマではドライバーの右足首の角度と、ストラーダとスポーツ、そして過激なコルサという3つのドライビングモードを選択することによって抑制した走りも可能だが、すべてドライバー次第となる。
スーパーカーの魅力
知りたいのは、これまでウラカン・ペルフォルマンテほど見事に狂気の世界を味わわせてくれる能力を秘めたモデルなど存在しただろうかということだ。
どこへ行こうともそのLEDヘッドライトの刺すような眼差しや、原初の美しさを感じさせるシルエット、そしてリアに屹立するスポイラーに対するひとびとの反応は同じであり、一様に驚いたような表情で振り返るとこのクルマを指さしている。
イタリアでは、こうしたひとびとの反応は両方のパドルを引いてギアをニュートラルに戻し、アクセルを戻す合図であり、こうしたひとびとの好機の眼差しはふたつのことを教えてくれた。
ひとつ目はお高く留まったフェラーリや堅苦しさを感じさせるポルシェとは違い、ランボルギーニというのは、アロハシャツのように社会の階層を超越したひとびとに愛される存在だということであり、ふたつ目は、スーパーカーというものはつねにひとびとの想像を掻き立て、こうしたクルマを目撃するとひとは思わず感情が露わになるということだ。
多くのひとびとは、こうしたクルマについて、勇気がないからといって諦めるよりも、確かにドライバーを疲れさせ痛めつけもするが、深い繋がりを感じさせ、ふたたびそのステアリングを握りたいと思うに違いない。