ランボルギーニ・ウラカン・ペルフォルマンテ サンターガタへの帰還 前編
公開 : 2019.11.09 08:50
総走行距離1900km
そして、もしこうした疲労と深い繋がりとの間に最高のバランスがあるとすれば、イタリアへと向かう今回のルートは、ペルフォルマンテにそのことを証明する十分なチャンスを与えることになる。
ドイツのラインラント地方にあるクラーデンバッハからアウトバーンにのったが、ここでのペルフォルマンテはそのスピードとミッドエンジンモデルに相応しいしなやかなサスペンション、さらには8.9km/Lという望外とも言える高速燃費によって、見事なパフォーマンスを楽しませてくれたのであり、この素晴らしい燃費性能を誇る5.2L自然吸気V10エンジンは、いずれ史上最高のロードカー用エンジンとして称賛されるだろう。
その後バーデンバーデンからはブラック・フォレスト・ハイロードという、低木の森林地帯のなかを広く滑らかな路面が貫く道路で南東へと向かった。
2日目にはオーストリアにあるはるかにテクニカルなジルヴレッタ・パスを経由してインスブルックへと抜け、そのまま北イタリアに広がる豊かで工業化が進んだ平野部へと辿り着くと、そこはもうランボルギーニのホームタウンだ。
ここまでで約1900kmを走破しているが、これはほとんどのランボオーナーの年間走行距離よりをはるかに上回るに違いない。
シュワルツワルト(黒い森)
300kmなどあっという間であり、ドイツのシュワルツワルト(黒い森)にはちょうど日没ころに到着している。
ここでのペルフォルマンテはその実力を存分に発揮し、ピレリタイヤで思い切り路面を掻きむしったが、そのフィールはまるでスパイクシューズを履いているかのようであり、デジタル式タコメーターが猛烈な勢いで回転上昇を続けた。
このクルマのシャシーはフェラーリ488ピスタのようにはスリップアングルを許容せず、ポルシェGT2 RSのようなリアの落ち着きを感じさせることもないが、そのグリップと鋭いフロントノーズをミリ単位で操ることのできる正確さは驚異的なものだった。
さらに、このクルマでは本能的な操作が可能であり、アヴェンタドールとは違いグリップ限界をドライバーに感知させることで、見事な情熱を感じさせる。アヴェンタドールよりもコンパクトなウラカンであれば、コーナーをより激しく攻めることが可能であり、おそらくどんなスーパーカーよりもラインぎりぎりを狙うことができる。
さらに、ペルフォルマンテには8750rpmまでを許容するエンジンが積まれているのであり、これほど正確にドライバーが自信を持ってコントロールをすることのできるクルマであれば、単に好きというだけでなく、ほとんど無条件で愛さずにはいられないだろう。
ここはこの旅で初めて出会った素晴らしい道であり、3速でクリアすることのできる3つのコーナーは、ペルフォルマンテがまさに本能的なドライビングが可能な野性的なスーパーカーであることを思い出させてくれた。