F1人気、回復への課題 AUTOCAR英スタッフの意見 タイヤの耐久性が鍵
公開 : 2019.09.28 18:50
クリス・カルマー
F1が『おかしくなった』と感じる理由はなんだろうか。メルセデスの圧倒的速さなのか、衝撃の結果の少なさなのか、それともオーバーテイクの少なさなのか。
しかし、このような限られたチームによる支配的状況はモータースポーツの歴史上珍しくない。もちろん予算制限は良いアイディアだが、レースとはそもそもメーカーのマーケティング手段の1つであり、それがなければF1は成立しないのだ。
中堅チームの表彰台獲得の少なさは、マシンが複雑化する中での信頼性の高さが理由だ。そしてマシンが運転しやすくなったことから事故やスピンが減った。さらに1970年代と比べると空力の追求のため空気抵抗が増えている。
地面効果によるグリップを重視する方向にシフトするとともに、タイヤも超ハイグリップで寿命の短いものを避けたらどうか。これにより、ドライバーがタイヤ管理にとらわれることなく、レース全体を通してプッシュできるようになりそうだ。
ダミエン・スミスの意見 AUTOCARマネージング・エディター
F1については、みなさんさまざまな意見をお持ちだろう。しかし『直す』というと、F1が壊れているかのようだ。あいにくわたしはそうは思っていない。
レースは眠くなるほど退屈なこともあれば、非常に白熱することもある。ドライバーはしばしば小さなことで激昂したり、馬鹿げたことをしでかすこともある。しかし、彼らはわれわれが夢に見ることしかできないことをしているのだ。
いくつかのサーキットはひどいものだ。しかし、オースティンやシンガポール、それにバクなどの新しい場所はクールである。しかしF1はシルバーストン、スパ、モンツァなどをそのままにしている。F1幹部らはあぐらをかいているのだろう。一方それぞれのチームは常にチャンスをうかがい、パワーを追い求め続けている。監督やエンジニアらは0.1秒のためにどんなことでもやるのだ。
F1は手を加える必要があるのだろうか。F1はいつの時代も複雑でお金のかかるものだった。わたしはこれが好きなのだ。少し変なのかもしれないが。
マーク・ティショーの意見 AUTOCARエディター
平日夜の10時10分ごろ、10時のニュースのトピックス紹介が終わりブレクジットのシナリオ解説や政治家の質疑応答が始まると、わたしはチャンネルを回す。大抵チャンネル406のスカイF1を見るのだ。そのころはクラシックF1が放映されている。
ここ20年ほどのレースをランダムに放送しているのだが、とても面白くついつい夜更かししてしまう。ある日気づいたのは、昔のレースの方が雨が多かったのだ。
F1を改善するには、雨を増やしたら良いのではないか。中盤はドライで、最後に雨が降ったら面白くなりそうだ。最近では2019年のドイツGPがそれに該当する。すべてのレースを湖水地方で開催するというのは現実的ではない。しかし雨の後のタイヤ選択が勝負を面白くするのだ。
一般的にいって、F1は部外者が口出しをする余地がなく、内向的すぎるのである。タイヤ1つとっても、議論がなかなか進まないではないか。まずはタイヤのメカニカルグリップを減らしてでも耐久性を高めるべきではないか。ドライバーがタイヤの消耗を気にしすぎることなく長時間プッシュできるようになれば、レースがさらに白熱するだろう。