トヨタ・ヤリスGRMNで巡る ウェールズ・ラリーGB開催地の旅 新たなホームタウンも
公開 : 2019.10.06 18:50 更新 : 2021.03.05 18:46
10月に行われるウェールズ・ラリーGBを前に、ヤリスGRMNでその舞台を巡る旅に出ました。1993年以来初めてWRCを迎えるオールトンパークやマクレー戴冠の場となったチェスター競馬場などを巡る今回の旅では、英国ラリーの歴史とヤリスGRMNの魅力を確認することができたようです。
もくじ
ー舞台はオールトンパーク
ー見せ場はウォータースプラッシュ
ーチェスター競馬場 歓喜の場所
ーラリーマシンとの繋がり
ー空想の限界 ラリーの天気
ー非常に魅力的 でも完ぺきではない
ー新たなホームタウン
ー番外編1:第1回ウェールズ・ラリーGB再考
ー番外編2:勝つのは誰だ?
舞台はオールトンパーク
モータースポーツ界における排他主義には根深いものがあるようだ。
オールトンパークへと続く並木道は、英国ツーリングカー選手権のスーパーツーリングクラスが最高に盛り上がっていた時代を思い出させるが、今日この場所を訪れたのは、はるかに泥だらけなレースの開催を祝福するためであり、今回の相棒、決して洗練されているとは言い難いヤリスGRMNにとってもお似合いなウェールズ・ラリーGBがこの10月、久しぶりにイングランドはチェシャーにあるこのサーキットに戻って来ることになったからだった。
確かにスーパースペシャルステージは、ラリーとは森のなかで行うものだと考える熱狂的なファンからは支持されていないが、こうしたサーキットを舞台にしたステージは、アウトドアウェアでの完全防備をすることなく近くでラリーを観戦したいと望むソフトなファンに向けて長く提供されてきたものだ。
さらにこうしたステージは、観戦可能な場所が大きな邸宅のまわりに広がるほとんど目印のない泥だらけのコースでしかなく、背の高い人間だけがラリーカーを実際目にすることができたような時代を経て、広く採用されるようになっている。
子供のころ、1986年のウェールズ・ラリーGBを観戦しにハイ・ホールという名のカントリーハウスへ行ったことがあるが、覚えているのはナイロン製のポンチョを着た背中のせいで、グループBのモンスターマシンのサウンドしか聞こえなかったということだけだ。
1993年以来のWRC開催となるオールトンパークでそんな経験をすることは決してないだろう。
見せ場はウォータースプラッシュ
リバプールにあるキューナードビルディングからスタートする今回のラリーで、木曜夜の最初の戦いの舞台となるのがオールトンパークの1周4kmのコースだ。
ロッジコーナーからカスケードまでの森林エリアに続いて、今回のラリー向けに特別に設置にされたウォータースプラッシュを通過し、ニッカーブルックの横にある小さな池の辺りで旋回すると、その後クレイヒルを上り切って、普段は練習走行用として使われているオールトンのラリーコースへと入っていく。
それなりのスピードが要求されるとともに、グラベル用のセッティングでターマックへ挑む模様は要注目であり、オールトンパークの非常に起伏に富んだコースレイアウトでは観戦ポイントにも事欠かないだろう。
75回目を迎えるウェールズ・ラリーGBの創設には英国版AUTOCARもかかわっており(詳しくは番外編1でご紹介しよう)、今回のラリーでは広くその名を知られひとびとに愛されたラリーマシンたちが展示される予定だ。
今回ここを訪れたのはラリー観戦用の観客席が建設されるはるか以前のことだったが、この日はオートバイ向けの走行会が開催されており、多くのひとで賑わっていたため、夜のラリーを観戦しに多くの観客が詰めかける様子をイメージするには、かなりの想像力が必要だった。
最大の見せ場がウォータースプラッシュになることは間違いないだろう。コース上でのヤリスの写真撮影が許可されたが、例えゆっくりとしたスピードであっても滑り易いターマック舗装のグリップレベルが極端に低いことは明白であり、このクルマのフロントに設置されたデフロックは、わずかなトラクションを何とか確保しようとつねに悪戦苦闘を続けていた。