トヨタ・ヤリスGRMNで巡る ウェールズ・ラリーGB開催地の旅 新たなホームタウンも
公開 : 2019.10.06 18:50 更新 : 2021.03.05 18:46
チェスター競馬場 歓喜の場所
イングランドは単なる移動区間でしかなく、オールトンパークに続いてレースが行われるのはすべてウェールズが舞台となる。だが、イングランドからウェールズへ移動する前、ヤリスとわたしにはもう一カ所立ち寄るべき場所があった。
その場所とはチェスター・レースコースであり、ここでは以前、常に流血と時には死者まで出した古式フットボールが行われていたが、1539年に競馬場へと生まれ変わっている。だが、ここに立ち寄ったのは馬を見るためではない。
この場所こそが1995年のウェールズ・ラリーGBのフィニッシュ地点であり、当時カルロス・サインツを破って英国人ドライバー初のWRCチャンピオンとなったコリン・マクレーが、先導するバグパイプ奏者に続いてスバル・インプレッサL555 BATとともにステージに上がるのを見るため、数千人ものひとびとがここに集まっている。
今日はレースが行われていなかったので、グランドスタンドに立ってみたが、24年前と何も変わっていないように見える。
木曜日にはマクレーの熱狂的なファンでもある自転車競技の元オリンピックチャンピオン、サー・クリス・ホイが、マクレーのマシンとそっくりなプロドライブ所有の1996年製モデルのステアリングを握ってオールトンパークに登場する予定だ。
ラリーマシンとの繋がり
チェスターの立地が意味するのは、この競馬場から10分もかからずにヤリスとわたしはウェールズに足を踏み入れることが出来るということだ。だが、A55号線は決してこのクルマ向きの道路ではなく、ヤリスのキャビンは騒音で満たされ、例え明らかに滑らかな路面を一定のスピードで走っていても、その乗り心地が落ち着くことはない。
本物のラリーマシンから多くのインスピレーションを得ているとは言え、このGRMNはかつてのホモロゲーションスペシャルのようなモデルではない。ボディシェルと同じようなデカール類を除けば、見事な働きを見せるディフェレンシャルを備え、大げさな空力パーツを纏った四輪駆動のラリーマシンとの直接的な繋がりはないのだ。
だが、例え他のドライバーからは単なる見掛け倒しのハッチバックだと思われたとしても、少なくともこのクルマはラリーマシンとの繋がりを誇りにしている。
次に立ち寄ったブレニグのコースは、ラリー最終日となる日曜日のレースが予定されているのだから、順番が逆かも知れないが、ヤリスにとってははるかに相応しい場所でもあった。