トヨタ・ヤリスGRMNで巡る ウェールズ・ラリーGB開催地の旅 新たなホームタウンも
公開 : 2019.10.06 18:50 更新 : 2021.03.05 18:46
新たなホームタウン
訪れたのが学校の休み明けの平日だったことから静かな様子を想像していたが、街は多くのクルマと旅行者で賑わっており、少なくとも雨は止んでいたものの、スタート&ストップの繰り返しですぐにクラッチを操作する左足に疲れを感じた。
有名なグレートオームの岬を背景に桟橋で写真を撮ろうと考えていたが、渋滞で思うような準備が出来なかったために、カメラマンは岬そのものへ移動しての写真撮影を提案している。
グレートオーム周辺の道路はラリー最終日には全長4.7kmのステージ20へと姿を変え、ラリー参加者たちは通常課される3.50ポンド(460円)の通行料を支払う必要はない。
その多くが高い崖の囲むように配置された狭いルートは、滑り易い森林コースと比べればチャレンジングな要素は少ないものの、素晴らしい景観を見せてくれるに違いない。だが、観客は高い場所にあるスロープからのここでしか見られない光景を楽しんだほうが良いだろう。
そして、せっかく海辺に来たのだからフィッシュ&チップスも忘れてはいけない。この新しいラリーのホームタウンが成功することを祈ろう。
番外編1:第1回ウェールズ・ラリーGB再考
1932年に第1回が行われたRACラリー(ウェールズ・ラリーGB)は、英国版AUTOCARがラリー・モンテカルロの成功に刺激された英国の王立自動車クラブ(RAC)に開催を提案したことがキッカケだった。
ノーマルのままの公道モデルで参戦した参加者たちは、英国中に設けられた9つの異なるスタート地点から、定められたチェックポイントを通過しながら1600kmのコースをトーキーへ向け出発していった。
367台が参加しており、排気量1.1L以下のクラスは平均時速35km/h、それ以外は平均時速40km/hと予想されていた。
トーキーまで辿り着いた参加者の多くが、ノンストップでこのラリーを走り切っており、市長の出迎えを受けた後にはダンスパーティーが催されているが、参加車両には完ぺきな正装が詰め込まれていたのは言うまでもないだろう。
翌日はトーキーの市街地にクローズドセクションを設け、さまざまなトライアルが行われているが、そのなかにはモータースポーツとしては非常に奇妙と言える「スローランニングテスト」といった種目があった。
これは監視人を乗せた状態で、クラッチを操作することなくトップギアで可能な限りゆっくりと91mの距離を走行するというものであり、もっとも時間を掛けて走行することに成功した車両のタイムは5分以上というものだったが、報道では「観客のほとんどはカタツムリの競争よりも加速テストにより多くの興味を見出したようだ」と冷ややかに伝えていた。
グレートオームの駐車場を舞台に、ヤリスでこの偉業を再現しようとしてみたが、まったく上手くいかなかった。アイドリング状態で挑戦した最初の走行でさえ時速は3.2km/hであり、6速ギアでエンジンが許容可能な最低速度はおよそ32km/hにも達していた。もし当時参加していたら、ダントツの最下位だったに違いない。