シトロエンC5エアクロス、日本試乗 新ハイドロSUVの評価は? 価格431.9万円

公開 : 2019.10.01 06:20  更新 : 2022.02.24 19:45

安全装備、内装について

さらに左右輪のトルク分配を行う電子制御ブレーキLSD(=グリップコントロール)を標準装備。ノーマル/スノー/マッド/サンド/オフの5モードから路面状況に応じた制御モードを選択できる。FFだからと諦めた感じは一切なし、FFの踏破限界に挑戦するような印象さえある。

SUVに4WDは不要という気はさらさらないが、現実的な使われ方での最適化がなされていればいい。C5エアクロスの走りはアウトドアレジャーとツーリングを心地よく楽しむための現実論でまとめられていた。「FFと言えども侮るなかれ」なのだ。

後席は3座独立タイプ。それぞれを個別にスライドすることが可能
後席は3座独立タイプ。それぞれを個別にスライドすることが可能

上質な座り心地のシートや後席3脚独立スライド機構を備えたプレミアム感と実用性。林道くらいのラフロード走行には不足ない踏破性と快適なツーリング性能。先進的な安全&運転支援機能。

SUV相対では乗用車のトレンドからちょっと外れたシトロエン味のポップなキャラクターが一番のアピールポイントだが、アウトドアレジャーとロングツーリングの適性だけで評価しても優等生である。遊び心と真面目さが無理なく共存している。

光る個性 「買い」か?

上級仕様のシャイン・ナッパレザーパッケージは468万5000円(税10%)だが、走行メカや利便快適装備は共通しているのでレザーシートやパノラミックサンルーフに魅力を感じなければ431万9000円(税10%)のシャインで不足なし。

価格と内容では国産車ならレクサスNXやマツダCX-8、輸入車ではメルセデス・ベンツGLAクラスやボルボXC40などが絡んでくる。同価格帯に入る主立ったモデルとC5エアクロスを並べて「コスパは国産車よりちょっと劣るけど同格輸入SUVでは優秀だな」などと比較してみたが、どうもすっきりしない。

後席を折り畳めばラゲッジ容量は1630Lに。荷室のフロア高も2段階に調節できる
後席を折り畳めばラゲッジ容量は1630Lに。荷室のフロア高も2段階に調節できる

理由は簡単だ。C5エアクロスの雰囲気を気に入ったドライバーが他車を気に入る可能性が低く思えたからだ。

内外装の雰囲気はコンペティターの多くが主張する一般性の高いプレミアム志向やスポーティ志向から外れ、嗜好的には唯一無二。

何度となく述べたが4WD必須のユーザーは対象外になるものの、アウトドアレジャー用ワゴンあるいはロングツアラーとしての目立った欠点がない。個性は強いが癖はない。C5エアクロスを気に入ったらそれでOKなのだ。

C5エアクロスSUVシャイン・ブルーHDi サイズ

価格:431万9000円(税10%)
全長×全幅×全高:4500×1850×1710mm
最低地上高:190mm
車両重量:1640kg
乗車定員:5名

C5エアクロスSUVシャイン・ブルーHDi
C5エアクロスSUVシャイン・ブルーHDi

C5エアクロスSUVシャイン・ブルーHDi スペック

エンジン:1997cc直4
トランスミッション:8速オートマティック
最高出力:177ps/3750rpm
最大トルク:40.8kg-m/2000rpm
燃費(WLTCモード):16.3km/L
燃料:軽油

ボビン式をイメージした速度計(上段)が泣かせる
ボビン式をイメージした速度計(上段)が泣かせる

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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