モーガン・プラス8
公開 : 2013.07.10 20:00 更新 : 2017.05.29 19:16
■どんなクルマ?
トラディショナルなボディに、モダンなV8エンジンを搭載したモーガン・プラス8の最新モデルだ。その古くさいボディとは裏腹に、そのパワートレインは最新のテクノロジーの結晶が組み込まれている。
エンジンはBMW製の4.8ℓV8だが、昨年半ばにAUTOCARがテストしたモデルとは仕様が若干異なる。小規模のメーカーならではの小回りの効くフットワークで(しかし多くの小さなメーカーはそうはしないが)、われわれの批判に対応した新しい電動アシスト付きステアリングに変更してきたのだ。なお、今回のテスト・モデルは、これもBMW製となる6速のマニュアル・ギアボックスを搭載していた。
■どんな感じ?
魅力的だがスリリングなモデルで、欲求不満を感じることは微塵もない。ポジティブな意味で、本当に傑出しているクルマでもある。
エンジンは文句のつけようがない。0-100km/hが4.5秒というパフォーマンスを導き出すパワー・ユニットは、スタートアップした時からレヴ・リミットまで高い咆号を奏でる。ルーフを開けていれば、顔は自然と綻んでしまうクルマだ。
6速マニュアル・トランスミッションも良い。クラッチは非常に重いが、固さとダイレクトさは好ましい。その重さに慣れてしまえば、モーガンに慣れた証拠といえるかもしれない。
修正されたステアリングの導入は、条件付きだが成功と言えるだろう。電動アシストのみの不確かな感覚はなく、油圧の補助が信頼できるセットアップを見せてくれた。
モーガンの新旧の技術の融合は拍手を送るべきところだ。ウッド・フレームのクルマにABSとエアバッグが付いているなど、驚きに値すると同時に、賞賛されるべきことだ。現代の法律を満たしつつ、クラシカルな魅力を維持しているという点は、他の自動車メーカーにとって良い教訓となろうものだ。
エアロから派生したシャシーは、1100kgと軽い。それは2段階の加熱プロセスで作成された32枚のウッド・パネル(接着とリベット留めで補強されている)から構成される。アルミニウムのボディ・パネルは、アッシュ・フレームでサポートされ、適度な固さをもちつつも、軽量化に寄与しているのだ。そのシャシーは、十二分にバランスがとれたものといえるだろう。
コーナリングは、進入ではほんの少しのアンダーステアを見せ、出口では若干のオーバーステアを見せる。それはエアロ譲りの19インチ・ホイールを履いていても同じだ。
短所もないわけではない。ルーフの作りは良いものではないし、ドアロックはほとんど無意味な存在となる。また、フューエル・フィラー・キャップの角度も要再考といった作りだ。
あなたが、このクルマに£71,000(1,060万円)を費やすかどうか、疑問を感じても不思議ではない。
■「買い」か?
しかし、そういった疑問はあっという間に吹っ飛ぶはずだ。バランスの良いステアリングやシャシーと、パワフルなエンジンとの組み合わせはこの上ないスリルを醸しだしてくれるからだ。
確かにインテリアのフィニッシュは良いとは言えないし、エルゴノミクス的に優れているわけでもない。しかし、もしあなたがモーガン・プラス8を買うことを決めたなら、そんなことは全く気にならなくなるだろう。アドバイスをするとすれば、そんなこと気にせず思い切ってしまえ、ということだけだ。
ガレージにモーガン・プラス8が収まっていれば、あなたのモーライング・ライフは微笑みに満ちたものになるに違いない。
(ジム・ホルダー)
モーガン・プラス8
価格 | £71,000(1,060万円) |
最高速度 | 250km/h |
0-100km/h加速 | 4.5秒 |
燃費 | 8.1km/ℓ |
CO2排出量 | 256g/km |
乾燥重量 | 1100kg |
エンジン | V型8気筒4799cc |
最高出力 | 390bhp |
最大トルク | 51.2kg-m |
ギアボックス | 6速マニュアル |