個性的な都会派コンパクトSUV 長期テスト スズキ・イグニス(最終回)
公開 : 2019.10.05 10:50 更新 : 2022.08.08 07:53
マイルド・ハイブリッドを搭載したSUVでありコンパクトなシティカーでもあるスズキ・イグニス。長期テストも最終回となりました。魅力的なスタイリグを持つクルマですが、実用性にも優れた、楽しいコンパクトカーといえるのでしょうか。
積算1万1373km 久しぶりに思わぬトラブル
久しぶりにスズキ・イグニスのハンドルを握ることにしたある日のこと。エンジンをスタートするやいなや、インストゥルメント・パネルにタイヤの空気圧低下の警告灯が点灯した。実際にタイヤを確認すると確実に空気は入っており、イグニスも数100m走ったあたりで、空気が足りていることを認識したようだ。このような誤検知も、今後気をつけなければらなそうだ。
積算2万3073km 初の整備の対応「可」、値段「やや難」
スズキ・イグニスを初めての整備に出した。AUTOCARの姉妹紙による整備の満足度調査では34位中14位と振るわなかったスズキだが、今回の整備での印象は至って普通。92%の回答者が良いと答えたスタッフの接客態度もその通りで、72%が答えた値段設定の妥当性も同じようなもの。
しかし、この小さいハッチバックの点検に210ポンド(3万円)払うのは少々高いようにも思える。この印象が影響しているのかもしれない。
積算2万5657km コンパクトなSUVは燃費も良好
スズキはイグニスのことを、「4X4の精神と技術を小さなボディに詰め込んだ」と表現しているが、われわれは「スーパミニ(A・Bセグメント)のSUV」と呼んでいる。わたしの家族は「レゴのクルマ」と呼ぶし、友人はだいぶ汚い表現で呼ぶこともある。
イグニスのカテゴリーはとても中間的なものなことは確かだが、長期テストで乗った期間、楽しむことはできた。100%信頼でき、質素で高速道路を数100km走っても燃費は想像の半分程度だった。
後部座席の乗り心地は厳しい
初めて運転したとき、ボディサイズに驚かされた。気を使うことなく立体駐車場を素早く走り、街に出る前に、シティカーの使いやすさを実感した。フォルクスワーゲンUp!のようにステアリングフィールは一貫性のある重み付けを得ているわけではないし、高速コーナリング時のボディロールは大きめ。短いホイールベースと軽量なボディ、良好なグリップ力で、機敏に走る。
正直、友人を乗せて走るのに適したクルマではない。イグニスのリアサスペンションはリジッドアクスルで、前席は長い周期の揺れの中で比較的快適ながら、リアシートの友人は短い周期の鋭い突き上げから逃げられない。
かなりの揺れで、180cmを超える友人はスピードバンプを超えた際に、イグニスの天上へ頭をぶつけてしまった。しっかり減速したのだけれど。乗り心地は良いとはいえないわけだが、布張りの4名分のシートのできは良い。
運転席は前後上下に位置の調整ができ、背もたれの角度はホイール式で細かく調整が効く。背もたれを起こして、SUVのようなドライビングポジションで楽しく運転することもできる。当初不満に感じたものの、シートの調整幅は充分に大きく取られていることもわかった。より高価な電動シートでも、イグニスよりも座り心地が良くなく感じることが時々あるのだ。