英国版中古車のすゝめ クラシック・ミニとは一味違う エルフとホーネット

公開 : 2019.10.12 07:50  更新 : 2020.12.08 10:56

愛嬌たっぷりで実用性も高められた、初代ミニをベースにしたラグジュアリー・モデルが、ライレー・エルフとウーズレー・ホーネット。その注目度はいまでも変わることはありません。状態の良いMk2のオーナーに、話を聞いてみました。

初代ミニの全長を215mm延長したノッチバック

text:Malcom McKay(マルコム・マッケイ)
photo:Will Williams (ウィル・ウイリアムズ)
translation:KENJI Nakajima(中嶋健治)

自動車メーカーが備えるブランド力は、1950年代の英国自動車市場にとっても重要な要素だった。一方でコストを抑えるためには大量生産も求められていた。

ナッフィールドとオースチンとが合併して生まれたブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)には古くからの独立ブランドが複数存在し、その扱いに苦労していた。そんな中で、戦後から立ち直るにつれて複数台のクルマを持つ世帯が増加し、その需要をBMCは「バッジ・エンジニアリング」で賄うことになる。

ライレー・エルフ/ウーズレー・ホーネット
ライレー・エルフ/ウーズレー・ホーネット

少し手を加えたライレーやウーズレーをラインナップすることで、お父さんの持っているようなクルマを、妻や息子にも購入してもらうことを狙ったのだ。ミニを派生したモデルの大きな特徴は、オリジナルのオースチンやモーリスよりもラゲッジスペースが大きいこと。

ライレーやウーズレーはどちらも販売は堅調だったが、わずかに高い値段が付けられたライレーの方が、ウーズレーよりも少し人気は高かった。設計者のアレック・イシゴニスは、215mm伸ばされた全長に納得していなかったようだけれど。

ADO16系のライレー・ケストレルのツインキャブ・エンジンはウーズレーよりも高性能だったが、ライレー・エルフはウーズレー・ホーネットと同じシングルキャブのエンジンを搭載する。両者の違いは、装飾トリムやグリルやエンブレム程度。ライレーの方が、高価なウッドやレザーをわずかに多く使用している。

専用のエクステリアパーツはとても貴重

パフォーマンスは初代Mk1の848ccと、Mk2、Mk3の998ccとで異なる。排気量が大きくなった中・後期型の方がトルクが太く、運転も遥かにしやすい。しかし、今回ご紹介しているクルマのエンジンは、工場出荷時のものとは異なっている。

ウーズレーが積んでいるのは1275ccエンジンで、ブリティッシュ・モーター・インダストリー・ヘリテイジ・トラストというクラシックカーの保全団体に属する、オーナーのピーター・ミッチェルによって変更されている。クルマをオーナー好みでモディファイすることは英国でも人気で、ミニ・ベースのクルマでもそれは変わらない。

ライレー・エルフ/ウーズレー・ホーネット
ライレー・エルフ/ウーズレー・ホーネット

オリジナルのミニから、意外にも多くの箇所の変更を受けているエルフとホーネット。リアウインドウは小さく、クロームメッキのモールは専用部品となっている。リアピラーのプレス接合ラインは除去され、大きなヒンジを備えた開閉できるリアのサイドウインドウはとても珍しい。

フロントとリアのアンダーボディやクロームメッキのグリル、バンパーとオーバーライダー、ボンネット、ボディサイドのクロームメッキ・トリム、マフラーなどは、エルフとホーネットの専用部品。スペアパーツはとても希少で高価だ。

エンジンのスペック以上に、このクルマは活気のある走りをしてくれる。搭載されているエンジンが正しいものかどうかは、インターネットでも調べることが可能。部品が摩耗していると振動が出て、オイル漏れや白煙を引き起こす。無鉛ガソリンに対応していない場合は、変更前提で予算立てしておきたい。

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