字幕付き動画 マクラーレンGT 仏から英へ1600kmの旅

公開 : 2019.10.06 11:20

マクラーレンGTで、フランスから英国までの1600kmの長距離テストを行いました。エンジンやシャシーなどはGTらしくカドが取れた印象で、長距離走行でも疲れ知らずです。一方で山道ではスーパースポーツらしい走りを楽しむこともでき、バランスの取れたクルマです。

快適なクルーズ 山道でも楽しめる

今回の舞台はサントロペだ。わたしはこれからマクラーレン初のグランドツアラーであるGTに乗り、英国まで戻る約1600kmの旅をする。ラグジュアリーさや快適性、洗練性だけでなく、マクラーレンらしいパフォーマンスや運動性能を兼ね備えているのだろうか。

視界が良好に保たれており、サントロペの狭く凹凸だらけの道でも、このマクラーレンは不自由なく走ることができる。そしてオプションのノーズリフトにより、巨大なスピードバンプを超える際にもカーボン製パーツを擦らずに済む。非常に柔軟で快適でありながら、ステアリングの感触も良好だ。

さてサンロトペを出て、ある程度の交通量があり流れの速いフランスの典型的なD級路に来た。攻め込むような道ではなく軽く流すところであり、すべての設定をコンフォートにしているが、非常に快適だ。非常に速いクルマではあるが、ドライバーを急かすようなことはなく日差しを浴びながらフランスの美しい景色を眺めるような走り方にも対応している。

次は郊外の峠を走ってみよう。素晴らしいコーナーが連続する最高の道路だ。マクラーレンはこんな道でこそ真価を発揮する。搭載する4L V8ツインターボは他のモデルのそれよりも圧縮比が高められ、ターボの完成も小さくなっている。これにより扱いやすく、カドが丸められた印象だ。

620ps/64.3kg-mを発生するこのエンジンは2000rpm以下ではおとなしいが、3000rpmを超えるとまさに離陸しそうな勢いを見せる。最高に華麗なサウンドとは言えないものの、明確な存在感があり、良い仕事をしている。組み合わされる7速DCTはシフトアップもダウンも非常に素早いものだ。

全体的にカドが取れた印象に

ブレーキは街乗りでは効きすぎるようだったが、こんな道には最適だ。鋳鉄製のディスクでも制動力は十分だろう。シャシーもカドが取れた印象で、スポーツモードでは路面によくなじみ、凹凸を舐めるように走ってくれる。魔法の絨毯のようではないが、適切な硬さだ。

マクラーレンによれば、このクルマのおよそ3分の2が新開発であり、その大部分がボディワークにあるという。特にオプションで用意されるこのブロンズの塗装は美しく、わたし好みだ。もっとも注目すべき機能は、マクラーレンが初採用したプロアクティブ・ダンピングだろう。これは路面状況に反応するだけでなく、アルゴリズムにより次に起きることを予測してダンピングを制御する。

マクラーレンGT
マクラーレンGT

フロントには150Lの荷室が用意され、リアには電動パワーゲートの下に420Lが用意されている。このフロアはNASAが開発したという素材で覆われており、非常に強固で傷や錆にも強いそうだ。ボディのベントから入った空気が荷室下部に流れることにより、ハードな走りをしても荷室内は40℃程度までに抑えられるという。

ステアリングもややソフトになり、マクラーレンらしい気合いの入り方は少しばかり影を潜めている。しかし毎日使えるクルマでありながら、コミュニケーション性は高く、接地面で何が起きているかはしっかりと伝わってくる。公道ではスポーツシリーズよりも扱いやすいだろう。

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