長期テスト フォルクスワーゲン・ポロGTI+(3) 磨けば光る原石なのか

公開 : 2019.10.12 10:50

フォルクスワーゲン・ポロに追加費用を払うことで手に入るGTI+ですが、パフォーマンスの追加はどの程度なのでしょうか。上品なフォルクスワーゲンらしいエクステリアデザインの内側には、どんな「ホット」さと実用性を秘めているのか、その魅力を探ります。

積算9371km ホットハッチとしての性格

text:James Attwood(ジェームス・アトウッド)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

通常、クルマの基本的なキャラクターや性能、利便性を確かめるのにそれほど長い時間は必要としない。大体はすぐにクルマになれ、運転スタイルなどもある程度決まってくる。

ところがフォルクスワーゲン・ポロGTI+で過ごす時間が増えるほど、やや考えが定まらなくなってきた。このクルマの目指すところ、なりたかった姿がイマイチ掴めないのだ。

フォルクスワーゲン・ポロGTI+ 2.0
フォルクスワーゲン・ポロGTI+ 2.0

ポロGTIはホットハッチではある。長期テストの初回でも触れているが、充分なパフォーマンスと、フォルクスワーゲンらしい上質さを兼ね備えている。どっち付かずに感じているのは、スポーツカーを追い回すような愉快な走行性能なのか、長距離を悠々とこなすクルーザーとしての性能なのか、というところ。

筆者が最初に感じたのは、必要に応じて高性能を引き出せる、高級志向のコンパクトカーというものだった。必要に応じて演じ分けられる俳優とでもいえようか。そう感じた理由は、高速道路や主要な国道を走らせた時の振る舞い。セレブ主催のセレモニーのように、優雅に滑るように走る。

ところがドライブモードをスポーツにすると、ポロGTIは落ち着きがなくなる。平日の昼間に流れているメロドラマのように、性格が大きく変化する。ドラマ性があると思って乗っていたが、運転する時間が長くなるほど、ポロGTIへの考えがぐらついてしまう。

それではと、2.0Lターボエンジンの加速力やトルク感を調べてみた。しかし6速デュアルクラッチATは急加速すると粗野なホイールスピンを発生。速度域を問わずアクセルペダルを半分以上踏み込むと、洗練された走りの雰囲気は乱れを感じるようになる。それを知ってしまうと、ポロGTIの設定自体が煮詰め切れられていないように思えてくる。

ときに野性味が溢れるパフォーマンス

そんなわけで当初感じた、実力を秘めた高級志向のコンパクトカーではなく、必要に応じて上質にも走れる荒々しいホットハッチ、という考え方に変わってきた。少しワイルドな俳優が、パーティ参加のためにタキシードを着た感じ、といっても分かりにくいかもしれないけれど。

これはフォルクスワーゲン製のEA288型ユニットを搭載するところが大きい。ゴルフGTIにも搭載される強力なユニットで、モデルに応じて馬力を調節できるすぐれもの。フォルクスワーゲンはポロGTIに合わせて、性能を調整したのだろう。スムーズで実用的な性能となるように。

フォルクスワーゲン・ポロGTI+ 2.0
フォルクスワーゲン・ポロGTI+ 2.0

休暇の日、何人かの友人や家族をポロGTIに乗せてみた。多くの人が、クルマのサイズと快適性について評価していた。だとしても、パワートレインは活発に走りたいという野性的な側面がちらつく。

ポロGTIの運転は楽しいし満足感もある。フォルクスワーゲンらしい快適でリラックスした走りに幸せを感じることもある。だからこそ選出のジレンマは解決していない。

快適で上質で、充分な走行性能を得られるが、時として野性味も体験できるクルマ、と数千km走行した今はまとめてみよう。納得はしていないから、もう少し運転してみようと思う。

気に入っているトコロ

タータンチェックのシート:クラシックなGTIらしいクロス。快適性も高い。

気に入らないトコロ

スマートフォントレイ:筆者のアイフォーン7+は大きすぎ、充電ケーブルを接続するとトレイに納まりきらない。

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