フォルクスワーゲンXL1
公開 : 2013.07.11 19:12 更新 : 2017.05.29 18:58
■どんなクルマ?
ドイツ・メーカーの最新のコンポジット・モデル、フォルクスワーゲンXL1は、795kgという車重と、Cd値0.189という驚異的なエアロダイナミクスを持つ2ドアのハイブリッド・カーだ。そのパワートレインは、50bhpを発揮する2気筒の800ccのディーゼル・エンジンと、27bhpのモーターの組み合わせだ。トランスミッションはシームレスの7速デュアルクラッチが搭載される。実は、クラッチは3つある。ギアボックスのための2つと、エンジンとモーターの間にある1つだ。このクルマは、モーター単独でも走ることができるからだ。
XL1のエフィシェンシーは既に伝説にすらなっている。風のない状況では100km/hを走行するのに8bhpしか使わない。そして、その場合燃費は110.8km/ℓをマークする。もし、すべてのパワーを使用すれば最高速度は201km/hまで達するが、現時点では162km/hに制限されている。パフォーマンスは、スタンディング・スタート0-100km/hが12.7秒だ。
ステアリングを握って直ぐに、XL1が通常の活発なパフォーマンスの持ち主であることがわかる。795kgのボディ・ウエイトは印象的で、更にそのエアロダイナミクスは驚異的ですらある。前面投影面積は、フォルクスワーゲン・ポロの2/3しかなく、しかもおそろいほど滑らかなボディをもっているのだ。
XL1は、エンジンの冷却を後部のディフューザーで形成された高圧を利用して、クルマの上部にあるダクトから排出されるという方式だ。また、そのエアフローは車内を冷却するにも使用される。暑い日には旧いビートルを思い起こさせるアシスタンス・ファンを利用するというものだ。
■どんな感じ?
われわれの任務は、ロンドン周辺を実際に走行して、このXL1の実用性をみることにある。フォルクスワーゲンはその舞台として、コロネーション・フェスティバルとグッドウッド・スピード・オブ・フェスティバルを選んだ。このような檜舞台であるからこそ、きちんと動くことが要求されるのだ。
フォルクスワーゲンは、実はこのXL1の価格を決めかねている。9月までには決まるようだが、その予想価格は£86,000(1,290万円)程度となろう。
XL1のカーボンファイバーでバケットシートに腰を下ろし、ガルウイング・ドアを閉める。革新的なクルマではあるが、インストルメントの佇まいは至って普通だ。インストルメント、インフォメーション・スクリーン、ギアシフトなどは、通常のフォルクスワーゲンの景色とあまりかわりない。ベアメタルのAピラーがそのインストルメントを挟んでいる。スティーブンと呼ばれるベルギーのエンジニアの話によれば、Aピラーにカバーをすると3mmの厚みのパネルが必要となる。そのことを踏まえ、フォルクスワーゲンはピラーに化粧をすることを拒んだのだという。
スタートボタンを押すと、5.5kWhのリチウムイオン電池から電源が供給され、モーターにスイッチが入る。ダッシュに手を伸ばし、Dをセレクトしてアクセラレーターを踏み込む。すると、クルマは簡単にスピードを上げる。
一旦スピードがのってしまうと、より小さなドラッグと、ビルトイン・フリーホイールによって速度が維持される。1時間ほど、ウエストミンスター・ブリッジ、パーラメント・スクエア、ザ・モール、ランバース・ブリッジというロンドン周辺を走った結果、バランスが良くとれたディーゼル・エンジンであることがわかった。サウンドは大きいが、振動はまったくない。
ステアリングはパワー・アシストはないが、タイヤが細いので力はいらない。あらゆる点で、XL1はきちんとしてイージー・ドライブなクルマであった。車高が低く、サスペンション・トラベルが小さいものの、路面の凹凸もよく吸収してくれた。とは言え、ロンドンの大きなスピードバンプには対応しきれないようだった。
■「買い」か?
このクルマは、毎日アシとして使えると確信したし、実際オーナーになればそう使いたいクルマだ。実際の燃費も70km/ℓはマークすることができると思う。エンジニアはまだまだ発展するチャンスがあると言うが、XL1はその立証である。
(スティーブ・クロプリー)
フォルクスワーゲンXL1
価格 | NA |
最高速度 | 162km/h |
0-100km/h加速 | 12.7秒 |
燃費 | 110.8km/ℓ |
CO2排出量 | 21g/km |
乾燥重量 | 795kg |
エンジン | 直列2気筒800ccターボ・ディーゼル+モーター |
最高出力 | 67bhp |
最大トルク | 14.2kg-m |
ギアボックス | 7速デュアル・クラッチ |