新型 日産ジューク 3気筒1.0Lターボに試乗 走りの明確な性格付けが欲しい
公開 : 2019.10.11 09:50 更新 : 2019.10.12 10:05
スポーティさは薄いが乗り心地は改善
ステアリングやペダル類の操作時の重み付けも、軽いながら好印象。ドライブモードが備わり、スロットルレスポンスをなだめるエコモードから、ステアリングが少し重くなりすぎるスポーツモードまで選べる。
日産は新型ジュークの発表時に、スポーティというフレーズを多用していたが、実際はどのドライブモードでも、さほどスポーティさは感じられない。ノーマルモードのままが一番良いだろう。セアト社のコンパクトSUVの方が、スポーティネスは高い。
だが、全高が高めのクルマの姿勢制御を良くする上で避け難い、サスペンションを硬くするということを上手にかわしている。標準装備となるホイールは19インチの大径サイズだが、ほとんどの場面でジュークの乗り心地は良好だ。
路面によっては時折強めの衝撃は届けてしまうし、ロードノイズはうるさい方。小径ホイールなら恐らく改善されるだろう。フェンダーには黒い樹脂カバーが付いているから、インチダウンしてもさほど見栄えは悪くならないはず。タイヤサイズは225/45だ。
エンジンのできは悪くなさそうだ。3気筒エンジンらしい独特のハミングは小さく、低回転域からのトルク感も豊かというわけではない。しかし2000rpmを超えてくると気持ちよく吹け上がる。高音域の唸り声が響いてくるが、MTが発するものかもしれない。
1.0LエンジンはMTで1182kg、ATで1207kgのボディを引っ張るには充分なパワーを備えている。マニュアルでは活発に走らせられるが、ATはベストなギアを選ぶのに迷いが生じることがあるようだ。正確な評価にはもう少し連続した試乗が必要ながら、このクラスのベストの質感とはいえなさそうだ。
ジュークならではの性格付けが欲しい
初代ジュークが登場した時、ライバルモデルは限られていた。現在は20台以上は思いつくが、かといって魅力的なモデルによる競争が展開されているとは感じられない。筆者としては、通常のコンパクト・ハッチバックなどを選んだ方が良いと思ってしまう。燃料効率も高く運転した印象も優れている。
一方で確かに、クロスオーバーの高めの車高はチャイルドシートへ子供を乗せる時だけでなく、大人も乗り降りがしやすい。路面の起伏や歩道の段差などを超える際でも有利だ。さらに英国では1万7400ポンド(231万円)から2万5400ポンド(337万円)というジュークの価格も、訴求力は強い。
ジュークにはまだ、優れたコンパクトSUVの選択肢に入る高い可能性が残っている。楽しい運転体験か上質な洗練性か、どちらかを獲得して欲しい。今はどちらにもフォーカスされていないが、基本は充分に評価できる。先代に見られた角の立つ心地も改善している。残るは挑戦者としての、明確な性格付けにあると思う。
日産ジュークのスペック
価格:2万3895ポンド(317万円)
全長:4210mm
全幅:1800mm
全高:1595mm
最高速度:180km/h
0-100km/h加速:10.4秒
燃費:16.1km/L
CO2排出量:118g/km
乾燥重量:1182kg
パワートレイン:直列3気筒999ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:116ps/5250rpm
最大トルク:18.3kg-m/1750-4000rpm
ギアボックス:6速マニュアル