【電動ラグジュアリーSUV対決】メルセデスEQC vs テスラ・モデルX vs ジャガーIペイス vs アウディeトロン 後編

公開 : 2019.12.15 09:50  更新 : 2021.04.27 07:06

午後1時8分、ミルトンキーンズ・コーチウェイ

ようやく戻ってきた。他の日や他のクルマだったら、4時間で180km近くを走破する旅はもっとハードなものに感じたに違いないが、今日はそんなことはなかった。

どんなクルマに乗っていてもM25号線であれば、ラッシュアワーに平均時速50km/h近くを確保することは出来るかも知れないが、(ほとんどのEVオーナーはめったに遭遇しないだろうが)ほとんど空のバッテリーという不利を背負ってスタートしたにもかかわらず、EVに乗ってコッツウォルズを横断する旅でこの平均時速を達成したのは、思っていた以上の結果だった。

テスラ:95kWhのバッテリーによって航続距離は507kmに達する。
テスラ:95kWhのバッテリーによって航続距離は507kmに達する。

そして、ジャガーアウディの2台は、まさに恐れていたとおりの状況に見舞われている。Iペイスの場合、それは3回に2回は拒絶する急速充電が理由の一部であり、eトロンの場合には、不運とナビゲーションシステムが唯一の問題だった。

何度か失敗はしたもののA40号線での急速充電のあと、午後2時50分にジャガーは今回の旅の出発点へと戻ってきたのであり、アウディは10分差で最下位に沈んでいる。

信頼性と実際の公道上での安心感、そして2地点間を移動する速さに関して、午後12時33分にミルトンキーンズへと帰還することに成功したテスラに敵うモデルはいない。

マイケルウッドのサービスエリアにあるテスラ製スーパーチャージャーで、このクルマは30分以内に225kmもの航続可能距離を回復することに成功しており、この充電速度はEQCの3倍にも達していた。

これほどのペースで充電を行うことができるテスラ製スーパーチャージャーは現在英国中に55カ所あり、さらにこのスーパーチャージャーネットワークを補完するように、約300基の充電スタンドが設置されている。

オールラウンドな魅力 充電ネットワークの重要性

こうしたテスラ製充電ネットワークの充実ぶりや、この24時間で実際に目撃したテスラ以外の充電ネットワークの脆弱さを知れば知るほど、もし日常的に自宅以外の充電ステーションを使用せざるを得ないような場合、現時点でテスラ以外の選択肢などほとんど考えられないだろう。

それでも、モデルXが今回の勝者ではない。もし、その素晴らしい充電ネットワークほどの出来栄えをこのクルマが見せてくれたなら、間違いなくテスラは勝者に値するだろう。

モデルX:ソーンダースの顔に浮かぶのは本物の笑顔? それとも苦笑い?
モデルX:ソーンダースの顔に浮かぶのは本物の笑顔? それとも苦笑い?

だが、自宅と職場周辺に素晴らしい充電設備があるなら、そして長い休みに備えたセカンドカーを所有しているなら選ぶのはジャガーであり、さらに、もし今回のテストが通常のグループテストのようなものだったなら、傑出したダイナミクス性能を誇るこのクルマこそが勝者だったに違いない。

アウディも称賛に値するモデルであり、最下位に沈むなど厳しすぎると思うかも知れない。だが勝者とするには航続可能距離が短すぎた。

だが、勝敗を分けたのは航続距離ではない。

ドライバーアピールではIペイスに匹敵し、快適な乗り心地と高級な室内空間はアウディに引けをとらず、そして、今回の旅でもっとも効率的に充電ステーションを活用することに成功したEQCこそが勝者だ。

運転が楽しく、広々として、十分な航続距離を備えるとともに、興味深いモデルでもあるEQCは、今回の電動高級SUVを集めた旅で一度もミスを犯すことはなかった。

そして、われわれが経験したとおり、2019年現在、EVにとっては、「問題無く使える」ということがなによりも重要な点なのかも知れない。

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