稀代な3台のロータリー マツダ・コスモ、NSU Ro80、シトロエン・ビロトール 前編
公開 : 2019.10.19 07:50 更新 : 2021.03.05 21:43
コスモ以上に欲しい日本車は思い浮かばない
「110Sは前後左右の視界も良く、ペダル周りの空間にも余裕があります。ステアリングとシフトチェンジの連帯感のある操作性は、スポーツカーに乗っていると強く実感させます。非常に重要な部分ですね」
アイドリングはスムーズでハーフスロットル時のフィーリングも特徴的。低速トルクも太く、アウトバーン向きのNSUと異なり、加速を楽しむタイプのクルマだ。ロータリーエンジン特有のサウンドを響かせながら、7000rpmまで気持ち良く吹けあがるが、低速度での走行も不便はない。
トップで目一杯回せば193km/hに届くとはいえ、短いシフトレバーを心地よく動かして走らせた方が楽しい。コンパクトなエンジンは車両中心寄り搭載され、前後の車重割合は若干後ろ寄り。軽くナチュラルなステアリングフィールで、狙った通りに進路を変えていける。グリップ力は高くボディーロールは少なく、とても機敏にコスモ110Sは走る。
乗り心地はしっかりコシがありフラット。グランドツアラーというより、スポーツカー的だ。正直110S以上に欲しいと思える日本車は、筆者には思い浮かばないと感じた。
一方でシトロエンGSビロトールの魅力は少し掴みにくいが、明確に伝わってくる。847台に留まったGSビロトールも商業的には失敗し、シトロエンを破産させ、プジョーへ買収されるきっかけを作ったけれど。
後編では、NSU Ro80とシトロエンGSビロトールについて詳しく触れていこう。