斬新すぎたデザイン 3代目ビュイック・リビエラ ハリウッドの名脇役 後編
公開 : 2019.10.20 16:50 更新 : 2020.12.08 10:56
価値が再認識されつつある3代目
「パーソナル・ラグジュアリー」というコンセプトを見事に具現化し、所有する満足感が漂う。V8エンジンは遥か前方で静かに回転するが、おかげで沢山のガソリンを燃やしていることも忘れさせてくれる。
1974年に登場した4代目と1977年の5代目と、代を重ねるごとに小型化されたリビエラ。徐々にビュイックの下位モデルとの差も小さくなり、通算100万台以上のラインオフを迎えたリビエラは、1999年に消滅してしまう。
2007年と2013年の上海モーターショーでは、ガルウイングドアのコンセプトカーを展示し、リビエラの復活を匂わせる動きもあった。だがオペルのバッジエンジニアリング状態だったビュイックには、華やかだった時代のような斬新なデザインを与えることはできなかった。
この3代目リビエラへの注目が高まっても不思議ではないように思える。今回のクルマは、2013年にアメリカ・ミシガン州から英国に持ち込まれた個体。個人のコレクションから放出された車両は、英国のオークション、ヒストリクスで2019年7月に1万6000ポンド(212万円)以上の価格で売却された。
過小評価されてきたボートテールを持つ3代目リビエラも、2代目に並ぶ評価を得るようになってきた。単なる派手な古いクルマではなく、存在の価値を主張をするクルマへと時間が変化させたのだ。ハリウッド映画で悪役がリビエラで逃げ回った時代も、もう過去の話だ。
歴代のビュイック・リビエラ
初代:1963年〜1965年
フォード・サンダーバードに対するビュイックからの回答。ネッド・ニクルスによるデザインに、6.6Lか7.0Lという大排気量のV8エンジンを搭載。360psのグランスポーツが1965年に追加された。
2代目:1966年〜1970年
リビエラとて部品共有は避けられなかった。Eボディ・プラットフォームを採用し、キャディラック・エルドラドとオールズモビル・トロネードなどと構造は共有する。ハンサムなクーペだが、初代のドラマティックさは失われた。フロントにはオプションでディスクブレーキも選べた。
3代目:1971年〜1973年
大胆なデザインの大きな金属成形バンパーと、スラントしたテールはあまり人気が出なかった。排気ガス規制に伴い排気量は小さくなるも、トラクションコントロールの前身システムや「フルフロー」換気システムなどを導入。リアパネルのルーバーは1972年のみで、翌年にはなくなっている。
4代目:1974年〜1976年
3代目モデルの「ランドヨット」を展開した新しいボディを持つが、車体構造は基本的に3代目と同様。GMコロネード風のボディにピラーレス・ウインドウとオペラウインドウが備わる。パワーダウンに合わせるように、販売も伸びなかった。
5代目:1977年〜1978年
ダウンサイジングの波を受けて短命に終わった5代目。GMのBボディ・プラットフォームに適合させるように、全体的に縮小されたデザインを持つが、個性は失われた。V8エンジンは5.7Lと6.6Lへ排気量が「小さく」なったが、後輪駆動は保った。
6代目:1979年〜1985年
前輪駆動となったリビエラ。この世代ではエンジンはV6になる。1982年にはコンバーチブルが、1985年にはディーゼルエンジンも追加された。このモデルはヒットし、先代よりも1979年の売上は倍増している。
7代目:1986年〜1993年
V6エンジンにモノコックボディを採用し、世界的な流れに追いついたリビエラ。デジタルダッシュボードと4輪ディスクブレーキを備え、技術的にはハイライト。しかし売上は低下し続けた。
8代目:1995年〜1999年
1年のブランクを開けて、1995年にリビエラはGMのGボディ・プラットフォームで復活。キャディラック・セビルとの共有だ。スーパーチャージャーで加給されたV6エンジンは240psを発揮し、1987年のGNX以来、最も強力なビュイックとなった。