マツダ2(デミオ) 新旧を比較試乗 新型の価格/内装/走りを評価 ガソリンとディーゼル

公開 : 2019.10.13 20:10  更新 : 2021.12.28 00:16

ディーゼル車の味つけ

トルクに余裕のないガソリン車ならば納得もするが、25.5kg-mもの最大トルクのディーゼル車も力任せの巡航ギア維持をしない。

繋がりのいいダウンシフトで加速の伸びやかさや変速のリズム感を出しているような制御。しかも、ディーゼル車はけっこうな急加速でも1段分のダウンシフトで済ませてしまう。無闇に速さを求めているわけではない。

こちらは新型のマツダ2 XD Lパッケージ(4WD)。ディーゼル車だ。
こちらは新型のマツダ2 XD Lパッケージ(4WD)。ディーゼル車だ。

この辺りはスポーティなドライブフィールにこだわるマツダらしい味付けだ。

ユーティリティや運転支援機能について不満はあるものの、コンパクトな車体サイズからは想像できないほどタウン&ツーリングの両面で上質なドライブを楽しめる。走りも含めて小さな高級車と称せられるモデルである。

「買い」か?

余力たっぷりのディーゼル車で、LKA標準装着。質感の高い合成皮革のシートに運転席パワーシートのXD Lパッケージの車両価格は2WDが245万8500円(4WDは266万7500円)。

マツダ2ほどのプレミアム内装ではないが、カローラ・スポーツのハイブリッドG”X”とほぼ同等レベル。

中級グレードのプロアクティブSパッケージの内装。シート色はクロス・ネイビーブルー/ブルーブラック。
中級グレードのプロアクティブSパッケージの内装。シート色はクロス・ネイビーブルー/ブルーブラック。

ガソリン車の15S LパッケージにACCとLKAを装備すると215万6000円(セーフティクルーズパッケージをメーカーOPで設定)。ACCとLKAが装備できる最廉価グレードは15Sプロアクティブで、装着価格で180万4000円。

下級グレードなら車格相応とも言えるが、マツダ2の見所をすべて揃えれば価格も「プレミアム」になってしまう。

コンパクトなのに上級

実用性や車格で計るとコスパの低いモデルなのだが、プレミアム度で計ればコスパは圧倒的だ。車格が上がるほどプレミアム度は高くなる。

「贅」は車格の要点の1つでもあり、上級クラスになるほど「贅」の演出効果も減少する。逆に経済性と実用性をクラスコンセプトの基本にするエントリーBセグメントならば効果も高くなる。

ヘッドライナーの厚みを変更したほか、後輪ホイールハウスインナーに制振材を追加するなど、静粛性を高めた。
ヘッドライナーの厚みを変更したほか、後輪ホイールハウスインナーに制振材を追加するなど、静粛性を高めた。

とくに嗜好的な面からマツダ車を考えているドライバーには見逃せない。

プレミアム志向のユーザーに

マツダのオリジナル・モデルではエントリーに位置するが、内外装のデザインテイストも走りの味付けも上級マツダ車と近似の部分が多々。

同じような味わいなら無理して上級クラスを選ぶ必要もなくなり、だったらマツダ2でいい。

新型マツダ2 XD Lパッケージ(4WD)。
新型マツダ2 XD Lパッケージ(4WD)。

個人的にはデミオからの車名変更で車名のプレミアム感も上がったように思われ、マツダ内のダウンサイジング傾向が強まったと考えている。タウンユースの機会も多いプレミアム志向のダウンサイザーにはイチ押しモデルである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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