インディカーの技術を公道に ダラーラ・ストラダーレ 2.3直4ターボは400ps
公開 : 2019.10.16 09:50
マクラーレン・セナ以上のダウンフォース
ボディの後部にはダウンフォースを最大化する、巨大なカーボンファイバー製のウイングが付く。そのかわり最高速度は280km/hから265km/hへと低下する。この状態でストラダーレは820kgものダウンフォースを発生させるという。マクラーレン・セナより利用できる表面積は小さいのに、20kgも大きいことになる。
大きなインテークと整流板がボディを包み、路上での存在感は相当なもの。全長も全幅もBMW 1シリーズより小さいのだが、実際に目の当たりにすると5シリーズ以上に大きく見えてしまう。
フロントガラスはドーム状にカーブを描き、カーボンファイバー製のボディはプロトタイプ・レーサーそのもの。ワイパーは中央から1本、直立した状態で止まり、まさにグループC2カー時代のレーシングマシンのようだ。
ドアはないが、幅の広いサイドシルは低い位置にあり、またいで乗り込むことはそれほど難しくない。シートの中央には「STEP HERE(ここに足を置く)」と書かれた、窪んだステップが用意されている。
ドライバーとパッセンジャー用の足元空間には余裕があるが、車内はコンパクト。露出したカーボンファイバー・タブの雰囲気を穏やかにしてくれるレザートリムが付いている。価格は15万9600ユーロ(1883万円)からとなっているが、この試乗車は23万3000ユーロ(2749万円)になるそうだ。
魔法が効いているかのような接地感
シートはタブに固定されており、快適な運転姿勢を取るにはシート左脇に隠されたレバーを引いて、ペダルボックスをスライドさせる必要がある。ステアリングホイールの直径は320mmと小ぶり。スライド量は大きい。シフトノブの位置も完璧だ。ケーターハム・セブンほどではないにしろ、運転姿勢は良好に感じた。
ダラーラ・ストラダーレは、「一般道用のダラーラ」という意味になるが、基本的にはサーキット走行が前提のクルマ。滑り止めの付いたペダルは重いが、スロットルレスポンスは鋭い。クラッチの接続ポイントはかなり手前側で狭い。
ブレーキペダルも踏み込むとすぐにディスクを噛みつき、制動力も強力。英国の国道で減速するよりも、240km/hからのブレーキングに合わせて調整されているようだ。シフトノブはフォード製のままとなる。
ダラーラ製のスポーツ・エグゾーストからは大音量の排気音が放たれ、小さなデジタルディスプレイはスパルタン。多くのモノコックシャシーを持つサーキット向けのスポーツカーより、車内で感じる振動は小さい。
フロントタイヤの幅は205しかなく、歩くようなスピードでも、進み始めればステアリング操作は大変ではない。オープン状態だからすべてが生々しく伝わってくるが、カーボンファイバーの織り目は美しく、ステアリングフィールはプロっぽい。ストラダーレは、価格らしく高級マシンだと感じさせてくれる。
走り出せば魔法が効いているかのように、路面との設置感は確か。英国の荒れた舗装で難儀するかと心配していたが、まったく杞憂だった。