台風クルマ損害 自動車保険を使うと等級は下がる? 地震/津波/噴火、車両保険を使えず

公開 : 2019.10.15 06:00  更新 : 2019.10.16 09:41

台風は自動車保険(車両保険)の支払い対象となる「自然災害」に相当。では、台風が原因のトラブルとは? 翌年の等級は? なお地震/津波/噴火は車両保険が使えません。いくつかの例をもとにシミュレーションしてみます。

台風でクルマが被害 どんな保険が使える?

text:Kumiko Kato(加藤久美子)

台風は自動車保険(車両保険)の支払い対象となる「自然災害」に相当する。

これは、一般車両(自損事故にも適用されるオールリスク)保険はもちろん、エコノミータイプ(クルマとクルマの事故などにリスクを限定)であっても保険金が支払われる。

台風は自動車保険(車両保険)の支払い対象となる「自然災害」に相当する。
台風は自動車保険(車両保険)の支払い対象となる「自然災害」に相当する。

台風が原因のトラブルにはどんなものがあるのか? 例をあげてみたい。

・大雨で駐車場に置いてあったクルマが冠水/水没
・大雨で機械式駐車場がまるごと水没
・冠水した道路に気づかず進入してクルマが水没
・強風で看板や屋根瓦などが飛んできてガラスが割れるなどボディがキズついた
・裏山が崩れてクルマが土砂にのみこまれた
・強い横風にあおられてクルマが横転した
・暴風でカーポートの屋根が壊れて落ち、クルマにぶつかってキズがついた(この場合、カーポート自体は(契約していれば)「火災保険」から支払われる。)

車両保険を付けていれば、一般車両でもエコノミーでも台風を原因とする「ウチのクルマ」の損害はほぼすべてカバーされると思って良い。

ただし、そのキズが台風によるものなのかどうか? 怪しい場合は保険会社の調査が入る場合がある。

つまり、台風以前に自損事故などでキズが付いたクルマの修理をせず、事故報告もせず……。

そのままにしておいたクルマのキズを台風によるものだとウソの報告をして保険金をだまし取ろうとする「保険金詐欺」ではないかと、厳しくチェックされる場合があるということだ。

特に近年はどの損保会社もこのあたりの調査は厳しく行われている。

台風を含む自然災害で車両保険 翌年1等級ダウン

自然災害ではない通常の「ドライバーに責任がある事故」で車両保険を使うと、翌年の等級は3等級ダウンする。いっぽう自然災害による事故は「不可抗力」とみなされる。

車両保険を使っても1等級ダウンするだけだ。

自然災害では車両保険が使え、1等級ダウン。1年間は「事故あり係数期間」となり保険料が少し割増となる。
自然災害では車両保険が使え、1等級ダウン。1年間は「事故あり係数期間」となり保険料が少し割増となる。

ただし、その場合も1年間は「事故あり係数期間」となり保険料が少し割増となるので注意が必要である。

現在10等級の契約者が自然災害で車両保険を使って1等級ダウンとなると、翌年の等級は9等級になる。

この場合の9等級は「事故あり9等級」となり、8等級の人が事故なしで翌年9等級にアップした時の「事故なし9等級」とは、同じ9等級でも保険料が異なる(割増になる)ということだ。

1等級ダウンとなった場合の保険料が翌年以降どう変化するか? 保険を使わなかった場合と比較してみた。(ソニー損保公式サイト「概算保険料の計算」を使用)

保険料10万円(年間) 現在の等級10等級の場合 

保険を使った場合

翌年:事故あり9等級 14万2000円
2年後:無事故10等級 10万円
3年後:無事故11等級 9万6000円
3年間合計:33万8000円

保険を使わなかった場合

翌年:無事故11等級 9万6000円
2年後:無事故12等級 9万5000円
3年後:無事故13等級 9万3000円
3年間合計:28万4000円

1等級ダウンでも3年間で保険料のみ5万4000円アップする。免責金額、修理代の合計を考慮して保険を使うべきかどうかを考えたほうが良さそうだ。

なお、等級ダウンとなるのは車両保険、対物保険を使った場合だけだ。

ドライバー自身や同乗者のケガの治療などを補償する人身傷害保険や搭乗者傷害特約(搭乗者傷害保険)は使っても等級には影響しない。

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