ジャガー・ランドローバー新開発拠点訪問 モビリティーの未来へ 黄金時代の始まりか 前編
公開 : 2019.10.27 11:50
ゲイドン・トライアングルと呼ばれるジャガー・ランドローバーの新たな拠点を訪問しました。デザインから設計開発、テスト走行まで行うことができるこの場所では、移動の自由と環境保護を両立した未来のモビリティー実現に向け日夜作業が進められています。
ジャガー・ランドローバー初の開発拠点
フォルクスワーゲンには巨大で陰鬱なヴォルフスブルクが、フィアットには壮大なミラフィオーリがある。
ミュンヘン・オリンピックパークの横にそびえるフォーシリンダービルと呼ばれるBMWの本社ビルは、1973年に建てられたばかりだと言うのにすでに街のシンボルとして、後世へと受け継がれることになっている。
そして、フランクフルト近郊のリュッセルスハイムにあるオペルの拠点は、ツアーガイドが「モナコよりも少しだけ広い」と紹介するほどの敷地面積を誇る。
それぞれが独立していた時代は別として、英国最大の自動車メーカーであるジャガー・ランドローバー(JLR)には、これまでこうしたテクノロジーの中心となる拠点を持っていなかった。
だが、コベントリーにあったサー・ウィリアム・ライオンズの時代にまで遡ることの出来るブランズレーン工場は閉鎖され、数年前には売却の憂き目に会っている。
いまやジャガーのモデルは、かつてランドローバーの工場だったソリハルにあるロードレーンで、ランドローバーとともに生産が行われているのであり、ここは設計拠点ではない。
つまり、偉大なアイデアを偉大なモデルへと変える、魅力的でありながらも実用的なJLRに相応しい開発拠点というもが存在していなかったということだ。これまでは。
JLR新時代 ゲイドン・トライアングル
先月、CEOを務めるラルフ・スペッツ博士がウォリックの南東約16kmにあるゲイドンで、1万3000人ものエンジニアが働くことのできる新たなプロダクション・クリエーションセンターのオープンを宣言した時、JLRは新たな時代を迎えている。
5年の設計期間と3年の建設期間を経て完成したこの新たなJLRの拠点は、もともと飛行場だったことを示す3本の交差する滑走路が描く三角形から、ゲイドン・トライアングルとして知られるようになっている。
ゲイドン・トライアングルの開設に伴い、総勢280名から成るジャガー・デザインチームと先進のエンジニアリンググループ、さらに、重要でありながらもあまり注目されることのない購買チームがこの場所へと移ってくることになるが、これはJLRにとって、初めてニューモデルの構想から設計、開発、テストを経て、量産へのゴーサインを出すことのできる拠点が生まれたことを意味している。
オープニングセレモニーで、スペッツ博士は英国版AUTOCARに対しこの場所が、「中国やハンガリー、インド、アイルランド、スロバキアから米国まで、ジャガーとランドローバーが世界中で運営している設計拠点を結び付ける初の役割を担うことになる」と話している。
さらに、「製品開発の全プロセスにとって欠かせない部隊を、必要なマンパワーとともにここゲイドンに集中させることも出来るのです」とも語っている。