ジャガー・ランドローバー新開発拠点訪問 モビリティーの未来へ 黄金時代の始まりか 後編

公開 : 2019.10.27 18:50  更新 : 2019.10.27 19:04

ゲイドン・トライアングルと呼ばれるジャガー・ランドローバーの新たな拠点を訪問しました。デザインから設計開発、テスト走行まで行うことができるこの場所では、移動の自由と環境保護を両立した未来のモビリティー実現に向け日夜作業が進められています。

新たなデザインスタジオ 最初で最後

これほど未来のモビリティーについての話を聞かされたのだから、ジャガーの新たなデザインスタジオも見学しないわけにはいかないだろう。なにより、新たにジャガーのデザイン責任者に就任したジュリアン・トムソンがこの見学ツアーはこれが最初で最後だと言うのだからなおさらだ。

彼は、外部の人間にとってこの場所を日常的に訪れるチャンスはなく、JLRスタッフですらほとんどがアクセスを許されていないと言う。

タブレット、コンピュータ、ペン、紙に粘土。ジャガーのカーデザインではすべてに役割がある。
タブレット、コンピュータ、ペン、紙に粘土。ジャガーのカーデザインではすべてに役割がある。

「一旦この場所を出てしまえばそれで終わりです」と言いつつ、トムソンはランドローバーのスタジオもすぐ隣にあるものの、それぞれが独立してデザインを行うことになると強調する。

さまざまなデザイン作業が行われている素晴らしい新スタジオへと足を踏み入れてみた。ジャガーには現在ふたつの大型スタジオ(ジャガーが初期のル・マンを制覇したときの車両ナンバーにちなみ、スタジオ3とスタジオ4と呼ばれている)があり、打合せや何気ない会話が最高のアイデアを生み出す「ハートスペース」とデザイナーたちが呼ぶフロアの両側に配置されている。

トムソンを補佐するふたり、インテリア担当のアリスター・ウィーランとエクステリア担当のアダム・ハットンがさまざまなデザイン手法やテクニックを紹介してくれているが、ここではわたしには粘土でさえ上手く扱えないだろう。

2040年にも通用するデザイン まるで小さなル・マン

すべてが驚くべきスピードで進んでいる。デザインの門外漢が詳細を理解するのは諦めたほうが良さそうだ。

それでも、デザイナーたちが忙しく動き回り、セントポール大聖堂の半分ほどもある広大な持つフロアで、最先端の方法を使って、遠い将来まで見据えたデザインを行っていることだけは理解することができた。

タブレット、コンピュータ、ペン、紙に粘土。ジャガーのカーデザインではすべてに役割がある。
タブレット、コンピュータ、ペン、紙に粘土。ジャガーのカーデザインではすべてに役割がある。

「2040年にも通用するモデルをデザインしています」と、この場を離れる直前にトムソンが教えてくれた。「非常に難しい課題です」

続いて、正式オープンのあとでは十分な見学時間を確保することが難しいと思われる、ゲイドンの広大で天然素材が多く使われた施設をめぐるツアーへと出発した。

1942年に建造された管制塔の屋根にも上ることが出来たが、いまやこの場所はエンジニアたちのミーティングスペースとして使われている。

過去8年間で7万本もの木(4万5000本が柳であり、2万5000本はその他の元々この地に生えていた種類だという)が植えられており、騒音抑制と秘密裏に開発が進められるプロトタイプ車両を周囲の目から守るというふたつの目的のため、新たに盛り土が行われている。

はるか彼方に見える高速サーキットはまるで規模の小さなル・マンとでも呼ぶべきものであり、車両4台分の幅を持つ全長5.4kmのコースには1.6kmのストレートが備わっている。

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