ジャガー・ランドローバー新開発拠点訪問 モビリティーの未来へ 黄金時代の始まりか 後編
公開 : 2019.10.27 18:50 更新 : 2019.10.27 19:04
さまざまなテストコース 環境保護にも責任
さらに、「低速」用とされる全長12.1kmのハンドリングサーキットまで用意されているが、ここでウィリアムズ・エンジニアリングからやってきた恐るべきテストドライバーがステアリングを握るプロトタイプのジャガーC-X75に同乗したことのある者にとっては決してそうは思えない。
数kmの距離を持つクロスカントリーコースやブレーキテストエリア、サンドピット、泥だらけの悪路、コンクリートの巨大な穴が開けられたサスペンションテスト施設、さらにはもっとも凶悪な「高速での縁石との接触と巨大な穴に遭遇してのブレーキ性能をテストするエリア」まで備わっており、非常に広範囲なテストが行えるプルービンググラウンドのことも忘れるわけにはいかないだろう。
だが、スピードがすべてという訳ではない。ゲイドンでは自然環境も非常に注意深く管理されており、サイトマネージャーがステアリングを握るランドローバー・ディスカバリーで行く敷地境界を巡るツアーに参加してみれば、そのことを理解することができるだろう。
動植物の保護には十分な配慮が為されており(蝶や甲虫までその対象だ)、ゲイドンの責任者たちは定期的に地元の自然保護団体を招待している。
「われわれすべてに環境に対する責任があります」とスペッツは言う。「自動車産業も例外ではないのです」
番外編:ゲイドンの298km/h
こんな素晴らしい1日には、ゲイドンの広大な高速テストサーキット(なぜかここを「エミッション・サーキット」と呼ぶひとびとがいる)での高速走行を欠かすわけにはいかないだろう。
数年前、1.6km以上の長さを誇るゲイドンのストレートで、ジャガーC-X75のプロトタイプ車両のステアリングを握ることを許された。
それなりのドライバーなら322km/hは確実だと言われたものの、実際に到達することができたのはわずか311km/hというものだった。
普段この車両を管理しているジャガーのスタッフからは、苦笑をこらえつつ決して悪い記録ではないと言われたのだ。
実際に動かすことのできるC-X75は非常に希少な存在であり、デザインスタジオ移転を記念して、ジャガーの伝説的なテストドライバー、マイク・クロスを横にのせてドライブすることになったのは575psを発揮するFタイプSVRだった。
軽量でフロント投影面積の小さなC-X75のような特別なモデルと比べると、SVRはあまりにも快適で静か、広々しているように感じられたが、このクルマも同じような性能を見せてくれた。
ストレートでは80km/hほどからスタートしたが、Fタイプは強烈な加速で241km/hに達すると、やや加速力は鈍ったものの、それでも力強さを失わないまま速度を上げていった。
298km/hでコースが尽きたので、ふたたび挑戦してみると、2度目の記録も299km/hというものだった。
今日はこれぐらいで十分だとクロスとふたりで納得したのだ。