遂にマツダもEV発表へ マツダEVプロトタイプに試乗 バッテリーは35.5kWh

公開 : 2019.10.20 09:50

従来らしいクルマのフィーリングを残す

アクセルペダルだけで加減速が行えるワンペダルによる運転も、従来的な自動車のフィーリングのために避けている。アクセルペダルから足を離すと、徐々に減速しエネルギーが回生されるが、基本的にはブレーキペダルを踏まない限り必要な減速は得られない。

「強い減速時には、ブレーキペダルを踏む動きと身体に掛かる慣性とが一致するので、より優れています。回生エネルーの効率は他のEVと同じですが、人間の動作としての利点があります」 とシュルツェ。

マツダEVプロトタイプ
マツダEVプロトタイプ

一方で欧州のパワートレインをまとめるハイコ・ストライツェルによれば、多角的に検討も続けているという。「減速レベルを変更できるオプションは、用意する必要があると思います。強い回生ブレーキを選べるようにする予定ですが、完全なワンペダルでの走行は考えていません」

もう1つのマツダの決定は、加速感を演出する人工的なサウンドを加えること。これもエンジンを搭載したクルマへ近い考え方だ。音質は調整中だが、従来のクルマとの違和感を埋めつつ、「どれだけのトルクを仕様しているのかをリアルにドライバーへ伝える音」 だとシュルツェは説明する。

内燃エンジンの音より穏やかだが、他のEV並みに静かでもない。既にEVに乗りなれている人は当惑するかもしれないが、EVに初めて乗る人には安心感につながるかもしれない。その人工音をオン・オフできるようにするかも、検討中だという。

マツダのEVで既に納得のいくレベルに達している部分が、操縦性。EVの土台はマツダ3CX-30に採用されているアーキテクチャを派生させたもの。剛性を高め、機敏に反応するボディのために、バッテリー周辺やフロア部分にはリング状の補強構造を追加しているそうだ。

ロータリーエンジンの復活もありえる

クルマの挙動を向上させるG-ベクタリングコントロールは、EVの操縦性でも需要な役目を果たす。「電気モーターだからこその細かなトルク制御」が、コーナリング時だけでなく下り坂でも有効に機能するという。

今回のプロトタイプの試乗でも、低重心と相まったフロントタイヤのシッカリとした接地感が印象的だった。全体を振り返ると、マツダの取り組みは賞賛に値すると思う。既にプロトタイプのドライビングフィールは、EVとしての個性を備えつつ、慣れ親しんだ自動車のような印象も与えてくれる。

マツダEVプロトタイプ
マツダEVプロトタイプ

現状ではEVの発売時期を見定めているところのようだが、発電用エンジンのレンジエクステンダーを搭載したモデルの追加もあるとしている。注目なのが、ロータリーエンジンを採用するらしいこと。

マツダは2012年にRX-8の生産を終了して以来、ロータリーエンジンを搭載した量産モデルは作っていない。だが、ロータリーエンジンを量産モデルへと復活させる意思は、持ち続けてきた。2015年の東京モーターショーで登場した、ロータリーエンジンを搭載したRXビジョンをご存知の読者も多いだろう。

「ロータリーエンジンのレンジエクステンダーを採用すれば、走行中でも充電が可能です。航続距離も伸ばせます。燃料もガソリンだけでなくCNG(天然ガス)、LPG(液化石油ガス)だけでなく、水素にも対応できます。プラグイン・ハイブリッドや、シリーズ式ハイブリッドの可能性もあります」 とシュルツェは今後の展開を教えてくれた。

マツダの新しいEV版SUVは、2020年末までに路上を走り出す予定だ。

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