ロードテスト アリエル・アトム4 ★★★★★★★★★★
公開 : 2019.10.19 11:50 更新 : 2019.10.29 21:01
内装 ★★★★★★★★★☆
アトムは乗車スペースが完全に剥き出しになるので、インテリアに関する一般的な尺度は当てはまらないかもしれない。運転席は、コクピットと呼ぶのがふさわしいように思える。
そのアトムのコクピットは、サーキット育ちのスリリングなマシンの世界においてみても、かなり簡素な部類に入る。無駄なトリムは削ぎ落とされ、機能上不要なスペースはまったくない。
運転中に気を散らされるものも見当たらず、とくに、オプションの二輪用後付けナビを装着しなければなおさらそうだ。テスト車には取り付けられていたが。
これまで、シートは左右一体成型だったが、アトム4でようやく左右別体のバケットシートとなった。ドライビングポジションの調節が容易になったので、この変更は歓迎したい。
そのほか、コクピットにあるのはシフトレバーと3つのペダル、径が比較的小さいスエード巻きのステアリングホイールと、その奥に並んだ少しばかりのスイッチくらい。そうそう、ドライバーの目の前には、高精細のデジタルメーターが据え付けられる。
その向こうにスカットルの幅いっぱいに広がるのは肉薄のクリアなパースペックスを用いた低いスクリーンで、左右シートの前が上へ突き出している。ウインドスクリーンというよりは、ウインドディフレクター程度のアイテムだ。これは191ポンド(約2.6万円)のオプションだが、必需品ともいえる標準装備してほしいアイテムだ。走行風を防ぐことで、走行中の快適性は大きく変わる。
複雑に組まれたスペースフレームを乗り越えるには、ある程度余裕のあるズボンと股関節の柔軟さが必要だろう。しかし、いったんコクピットに収まってしまえば、まさにそれらしい雰囲気に満たされる。前も横も、視界を遮るものはほぼない。もっともこのクルマ、ヘルメットをかぶって乗る機会が多いので、十分に視認性を享受できないのだが。
全体的なレイアウトは、エルゴノミクス的にみればエクセレント。だが、小物入れすらない点は、日常使いするならマイナスポイントだ。リュックサックどころか、スーパーバイクのストレージボックスの方がまだ容量がある。
ノーズに小さな収納スペースはあるものの、飲み物と菓子か携帯食でも入れたら満杯という程度。これに比べたら、ケータハム・セブンが実用車に思えてくる。もっとも、このクルマの運転には、手軽に補給できる水分と栄養分が欠かせないだろうから、この小さな物入れは必須だ。