航続距離339km プジョーe-208 GT 既に仕上がりは好印象 乗り心地は要改善

公開 : 2019.10.22 09:50

快適で落ち着きのあるインテリア

インテリアは量産まで変更の可能性は低く、とても良くできている。トップグレードとなる「GT」は、価格はおよそ3万ポンド。人気となるであろう、アリュールにはない内装トリムが与えられている。だが内装トリムを問わずインテリアは魅力的で、ストロングポイントとなるはずだ。

車内は落ち着きがあり快適。デザインは個性的な部分もありつつ、プラスティック製パーツにはゴムで表面処理が施され上質感を与えている。シートなどにはコントラストが鮮やかなステッチが入り、2層構造の3次元モニター式インスツルメント・パネルも目を引く。

プジョーe-208 GT
プジョーe-208 GT

このe-208にも、低い位置に小径のステアリングホイールが配された、iコクピットが採用されている。プジョーによれば、オーナーの大多数はこの運転環境を気に入っているという。

人間工学的に、低速度で走らせている限りはさほど不満はない。だがスピードの上がる郊外に出ると、直径の小さなステアリングは操作感にムラを感じるし、背が高いドライバーの場合、メーターが見にくいと感じるだろう。

どうしてもiコクピットが気に入らなければ、英国ならボクソール・コルサ-eも選べる。通常のステアリングとメーターとの組み合わせで、基本的に走り味はe-208と同等のものなはずだ。

走行性能は概して良好ながら、350kgもの重量があるバッテリーが生む慣性は大きく、常にその存在を実感させられる。電気モーターは135psと30.4kg-mという力強さで、このカテゴリーとしては充分に速いと呼べる性能を持っている。

加速は鋭いが増えた車重の慣性は明確

0-100km/h加速は8.1秒でこなし、48km/hに到達する時間も約2秒。静止状態からの加速は印象的なもので、都市部での運転でストレスを感じることはないだろう。ドライブモードをスポーツにすると鋭くなり、エコにするとやや穏やかにはなる。もっとも、EVは全般的にスタートダッシュが得意分野だけれど。

ダイナミクス性能の面はほどほど。サスペンションは引き締められ、流れるような身のこなしといえる滑らかさは得られていない。1455kgの車重を持つコンパクトカーのサスペンションを仕上げることは、難しい課題のはず。乗り心地と姿勢制御とのスイートスポットを見つけるのは、至難の業だと思う。

プジョーe-208 GT
プジョーe-208 GT

e-208はスプリングレートを上げダンパーの減衰力を強めた設定で、姿勢制御は良好だが、乗り心地が犠牲になっている。英国や日本の地方に住んでいるドライバーにとって、納得できる乗り心地といえるだろうか。ゼロ・エミッションのホットハッチという見られ方はされるかもしれない。

今回の試乗はポルトガルで、路面はやや荒れている区間が多かった。明確にサスペンションは突っ張り、コーナリング中は舗装のうねりなどに逐一反応。一定した落ち着きは感じられなかった。

乗り心地以外のe-208は好印象だから、少しもったいない。ステアリングの操舵感はエンジンモデルより重さを感じられ、反応に落ち着きが加わり、満足感のある自然な進路変更を味わわせてくれる。アクセルペダルの操作感も良好で、得られる加速もリニアだ。

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