ボウラー・ディフェンダー・チャレンジ 英国クロスカントリー選手権に挑戦 ラリー世界への第一歩 後編
公開 : 2019.11.10 16:50
ラリー競技の門戸を広げようと創り出されたボウラー・ディフェンダー・チャレンジで英国クロスカントリー選手権に挑戦しました。サーキットとはまったく異なる世界に最初は苦労しましたが、最後はすっかりオフロードの魅力にハマってしまったようです。
最高に手強いコース
「ナインティ―・ライト・サーティー」が意味するのはドライバーには為すべき作業があるということであり、沈黙のあとの「サーティー・レフト」とは、出来るだけ足を踏ん張れということだ。
1周目はまったく上手く行かなかった。
低速コーナーであればオールテレインタイヤがディフェンダーのノーズの向きをしっかり変えられるだけのグリップを確保することが出来たが、より高速のコーナーではどうすれば良いかまったく分からなくなり、コース状態が泥や砂利、泥だらけの砂利となると、もはや自分がバカバカしいほど遅いのかどうかさえも定かではなくなった。
1周しただけだというのに疲れ切っていた。実際にはボロボロの状態だった。今夜は目は充血し、数週間経っても筋肉痛がとれないに違いない。
ボウラーに装着された高級なビルシュタインダンパーが見事に衝撃を吸収してくれるが、ボービントンのこの恐ろしいほどコブだらけの路面をなるべく速くクリアしなければならないのだから、このコースは最高に手強いと言えるだろう。
あまり速くコブに突っ込み過ぎると空中へと投げ出されるハメになる。次に慎重にふたつ目のコブを通過できると、思わず自分にはセバスチャン・ローブのような才能があったと自賛する余裕が生まれるが、その後には必ずもっとも大きい3つ目のコブへと突っ込むことになる。
時間の問題
1周目には4~5回ほど諦めそうになったが、それはジョンも同じだったようだ。わたしの危機を察知する前頭葉もマヒしてきたようで、まるで幻覚症状のなかで危険予知テストを受けているような感じさえする。
コースの路面状況は常に変化し、あまりにも障害が多すぎる。
ふつうのサーキットであれば、例えコントロールを失っても、タイヤバリアへ突っ込まないようにするのが常識だが、残念ながら人間はつねに行ってはいけない方向へと吸い寄せられてしまうものだ。
そして、ボービントンでは地形そのものがタイヤバリアであり、さらには至るところに重機が置いてあるので非常な緊張を強いられる。
それでもラップタイムを短縮することは出来た。1周目は緊張し通しの12分間だったが、2周目には10分25秒で周回し、トムリ―と一緒に休憩のためにベースへと戻ると、デービスからはこれなら十分レースになると言われた。
だが、このラップタイムの短縮はわたしのドライビングスキルが上がったからではなく、1周目の戸惑いが、2周目には挑戦に変わったからに過ぎない。
BXCCでボウラー・ディフェンダーを走らせるのは、その苦労の分だけ素晴らしい楽しみをもたらしてくれるのだから、一旦コースとマシンに慣れてしまえば、この世界にハマってしまうのも時間の問題だ。