アルピナB8 4.6は、なぜ「例外」なのか V8ねじ込むために「あの手この手」

公開 : 2019.10.26 05:50  更新 : 2021.10.11 14:52

V8をねじ込むため「あの手この手」

BMWアルピナB8 4.6に搭載された90度バンクV8のベース・エンジンはBMWのM60である。

BMWでは3Lと4LのM60しか製造していなかったが、アルピナはこれを4.6Lまで拡大している。

ホイールハウスいっぱいに詰め込まれた17インチのアルピナ・ホイールとタイヤが精緻な表情を作り出す。これはアルピナ自身のプレスフォト。リアのエンブレムを確認しないと標準的なB3か特別なB8かが分からない。 出典:アルピナ
ホイールハウスいっぱいに詰め込まれた17インチのアルピナ・ホイールとタイヤが精緻な表情を作り出す。これはアルピナ自身のプレスフォト。リアのエンブレムを確認しないと標準的なB3か特別なB8かが分からない。 出典:アルピナ

ボアとストロークを限界まで広げ、鍛造のクランクシャフトや特製のマーレー・ピストンをインストール。さらに圧縮比を10.8:1まで高めることで、340psという高出力を獲得しているのである。

B8 4.6のエンジンルームを見てみると、左右のストラットタワーとV8エンジンのカムカバーが接触しそうになっていることがわかる。見た目ではわからないがオイルパンは浅いものになり、排気管も省スペースのタイプに変更されている。

だがE36にV8を載せるという無理を通すため、アルピナはベースモデルに相当な改良を施している。

V8に押し出されたウォッシャータンクはトランクへと移設され、ギアボックスは高トルクに対応するためゲトラグの6速を装備する。デフケースも冷却を考え大型のアルミフィン付きに変更されている。

ブレーキも当然のように大型化されているが、驚いたことにダンパーやタイヤは直6モデルのB3 3.2と同じ。

とはいえエンジンパワーの大きさに対応するためASC+T(スタビリティコントロール)は専用セッティングになっている。

これほどの大改造によってE36 3シリーズはどのように化けているのだろう。後半ではB8 4.6をドライブしてみる。

記事に関わった人々

  • 吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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