長期テスト フォルクスワーゲン・ポロGTI+(最終回) 毎日のホットハッチ

公開 : 2019.10.26 10:50

マイルド・ハイブリッドを搭載したSUVでありコンパクトなシティカーでもあるスズキ・イグニス。長期テストも最終回となりました。魅力的なスタイリグを持つクルマですが、実用性にも優れた、楽しいコンパクトカーといえるのでしょうか。

積算1万1347km 一層好きと思える

text:James Attwood(ジェームス・アトウッド)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
ポロGTIの車内には8角形のカップホルダーが付いている。見かけは良いが、実用性はそれなり。普通のドリンク・ボトルの納まりも良いわけではなく、日曜日のランニングで愛用しているサーマル・マグカップは入らない。

でも、ボトルは強く押し込めばOK。マグカップは小物入れに入れることができる。小物入れの蓋を閉めれば、保温性も高まる。

積算1万3706km ひと回り小さいゴルフGTIなのか?

かれこれ数ヶ月運転してきたポロだが、トランクリッドには「POLO」のエンブレムがない。そのかわり、定位置には「GTI」のエンブレムが貼り付けられている。

ポロGTIに込められたブランドの意図は明確だ。フォルクスワーゲンはその3文字のイメージ通り、小さなホットハッチを生み出そうとしたのだ。ゴルフGTIが代々備えてきた内容に共通するもの。今回で最終回となるが、結果的に目指した高みには届いていないと感じた。

フォルクスワーゲン・ポロGTI+ 2.0
フォルクスワーゲン・ポロGTI+ 2.0

7代目ゴルフGTIを長期テストとして導入した際、ホットハッチとして素晴らしい走行性能と上品な乗り心地、夢中にさせてくれるドライビング体験に、われわれは強く感心した。フォルクスワーゲンにおけるGTI像をしっかり具現化していた。

同僚のアンドリュー・フランケルは、今までで最高のホットハッチだとさえ表現した。だが、ポロGTIから同じ感想を引き出すことはできなかった。タータンチェックを備え、GTIのエンブレムが付いていても、やはり別物。

毎日楽しめるパフォーマンス

フォルクスワーゲンの「GTI」モデルのコンセプトは「毎日楽しめるパフォーマンス」だと思う。その点でポロは「毎日」はクリアしている。現代のフォルクスワーゲンへ期待する、上質で快適な乗り心地がある。

スポーツシートでも快適性をおろそかにしていない。長距離を走ればわかる。以前のスズキスイフト・スポーツは、せっかくの豊かな魅力が長距離走行の後は霞んで感じられた。ポロGTIは、フォードフィエスタSTと比べても、しなやかで毎日乗るのに快適なクルマだと思う。

フォルクスワーゲン・ポロGTI+ 2.0
フォルクスワーゲン・ポロGTI+ 2.0

車内もフォルクスワーゲンらしい豊かさがある。上品で使いやすいインフォテインメント・システムに、表示内容を切り替えられるモニター式のメーターパネル。表示オプションが多すぎて、数カ月経っても新しい組み合わせを試していたほど。

インフォテインメント・システムにはボリューム用のノブがちゃんと付いていて、7代目ゴルフGTIのものより操作性は上。日常性は間違いなく高い。トップグレードなりに、サイズと価格に見合った快適性がある。

一方で物足りなかったのが「パフォーマンス」の方。といっても、性能が劣るわけではない。スポーツモードを選べば愉快なほどに速い。だが、期待したほど運転が楽しめるというわけではなかった。

ステアリングのレスポンスは、高性能ホットハッチに期待するほどクイックではなく、運転にのめり込む感覚が薄い。煮詰め方も甘いように思う。30km/h以下でアクセルペダルを強く踏みすぎると、ホイールスピンを発生させるほど。

反対に期待するほどパワーと加速が得られないこともあった。この原因は、唯一の設定となっているデュアルクラッチAT、DSGが原因。英国ではMTも登場予定らしいが、時期は明らかになっていない。

関連テーマ

おすすめ記事

 
最新試乗記

人気記事