ジェリー・マクガバン 新型ディフェンダーのデザイナーにインタビュー 後編
公開 : 2019.11.03 18:50
新型ディフェンダーのデザイン責任者を務めたジェリー・マクガバンにインタビューを行いました。DC10やLR1といったコンセプトモデルが新型ディフェンダーに与えた影響を語りつつ、つねに次なるプロジェクトを求める彼の眼は、すでにEV化時代に向けられているようです。
DC100の役割
「DC100の役目は市場の反応を見ることにありました」とマクガバンは言う。
「この新型ディフェンダーのアイデアを前に勧める必要がありました。ランドローバー社内では誰もこのアイデアについて話しすらしませんでしたが、お陰で議論を深めることができたのです」
「DC100が663新型ディフェンダーに影響を及ぼしているというひともいますが、それは事実ではありません。むしろこのコンセプトは何をしてはいけないかを教えてくれました。プロポーションに問題はありませんでしたが、あまりにもデザインが過剰であり、時代に合わせようとし過ぎていました。さらに、無骨さも不足していました」
なによりも、DC100にはマクガバンが「必然のライン」と呼ぶ、そのクルマそのものを定義するような独特のキャラクターラインが欠けていたのだ。自動車デザインはシンプルにすることが出来ると彼は言い、実際、つねにシンプルなデザインが好まれる傾向にある。
しかし、最高のデザインには「必然のライン」が不可欠であり、ヴェラールやイヴォークといったマクガバンの最近の作を見てみれば、そのことを直ちに理解できるだろう。
新型ディフェンダーのスタイリングとサイズ、そしてその哲学に真の影響を及ぼしているのは、2011年に始まったLR1コンセプトだとマクガバンは話す。
批判への反論
その少し前に登場したDC10コンセプトに対する批判への反論としてLR1は生み出されている。
このスタディモデルが公に公開されることはなかったが、それはランドローバーがDC100をめぐる喧噪にへきえきしていたからに違いない。
「LR1を生み出すと、このコンセプトモデルを見た多くのひとびとが理解を示してくれました」と彼は言う。「なぜなら、みんなわたしと喧嘩をしたくなかったからです・・・」
LR1はマクガバンにとっても最善の選択であり、ここからは比較的スムーズに熟成作業を進めることができた。
DC100の教訓を活かしたシンプルなストレートのキャラクターラインが与えられ、DC100の「失敗」を繰り返すことなく、無骨さも兼ね備えたデザインだった。
フロントスクリーンは初代ディフェンダーよりも寝かされていたものの、まさしくディフェンダーらしいものであり、力強いリアの造形も同様だった。小さなフロントとリアのオーバーハングによって、印象的なタフさを演出することにも成功している。
「多くのバリエーションを創り出すことは大きなチャレンジでした」とマクガバンは話している(これまで確認されているのは90と110のふたつだが、旧ディフェンダーには130というモデルも存在していた)。