2030年の移動空間「パナソニックSPACe_L」 走るリビングとは TMS2019

公開 : 2019.10.25 21:25  更新 : 2021.10.11 09:26

完全自動運転の時代は、乗員は何をして過ごすでしょう。東京モーターショーのメガウェブ会場に、そんな時代のコンセプト「パナソニックSPACe_L」が登場。走るリビングとは?

2030年 完全自動運転時代

text&photo:Kazuhide Ueno(上野和秀)

次代のクルマを取り巻く世界の創造に取り組むパナソニック。2019年1月にラスベガスで行われた「CES 2019」では、自動運転時代の新しいeモビリティとして上下分離構造の「SPACe_C(スペース・シー)」を発表した。

その「SPACe_C」に未来の移動空間を提案したキャビンを組み合わせたものが、東京都・お台場で開かれている「東京モーターショー2019×カウントダウン・ショーケース・フューチャー・エキスポ」(メガウェブ会場)で披露された。

フューチャー・エキスポに展示されているパナソニック・スペース・エル
フューチャー・エキスポに展示されているパナソニック・スペース・エル

新コンセプト・モデル「SPACe_L(スペース・エル)」は、完全自動運転車の普及される2030年のeモビリティを想定して開発されたもので、新時代の移動空間の提案となる。

出発前にスマホで目的地を設定すれば、移動の間は一切運転する必要はなく、リビングルームの延長となるくつろげる空間で目的地を目指すというもの。開発に際しては「リビングルーム」「ビジネス」「リラックス」「エンターテイメント」をテーマに、パナソニック・グループの総力を結集して行われた。

走るリビング

快適な移動空間を基本とするだけに、乗員がゆったりとくつろげる空間の提供がテーマとされた。そのためキャビン内は空気清浄機でクリーンに保たれ、エアコンディショナーは天井に取り付けられたサーモカメラによりひとりひとりの血流と体温を検知して、それぞれに最適な温度に設定。

また現在のクルマのような吹き出し口は存在せず、シートのバックレスト分割部と表皮のパンチング孔から送風される構造で、マッサージャーも組み込まれている。

フューチャー・エキスポに展示されているパナソニック・スペース・エル
フューチャー・エキスポに展示されているパナソニック・スペース・エル

エンターテイメントにもこだわり、有機ELを使ったサイドウインドウには、動画やミュージック・ビデオを表示できる。サンルーフ部分も活用されて、コンサートの動画であればルーフにホールの天井部分が映され臨場感を高めてくれる。

またウェブ・ページを表示することもでき、乗車中のショッピングも可能だ。これらのコントロールはアームレストのウッドパネルに組み込まれたコントローラーで行う。映像を映さない時はウインドウ濃度を高めるサンシェード機能も組み込まれている。

ワークスペースとしても

移動の間はくつろぐだけではなく、「ビジネス」のワークスペースとして使用することも想定されている。

左前席を回転させるとダッシュ部分からディスプレイが現れ、テレビ電話やメールなどを使える。仕事を終えた後はセンター・アームレストに組み込まれた冷蔵庫からシャンパンを取り出してくつろぐことも可能だ。

フューチャー・エキスポに展示されているパナソニック・スペース・エル
フューチャー・エキスポに展示されているパナソニック・スペース・エル

記事に関わった人々

  • 上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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