マイナーチェンジ レクサスRX 450h Fスポーツ 優れた快適性 ライバルへ接近
公開 : 2019.10.28 09:50
心に残る快適性に、高められた運動性能。インフォテインメント・システムも新しくなり、ライバルモデルに迫る仕上がりを得たと評価する英国編集部。マイナーチェンジを受けた4代目RXを、スペインで評価しました。
レクサス売上の20%を占めるRX
欧州市場では苦戦を強いられてきたレクサスRX。2018年は、大型ラグジュアリーSUVの最大のライバルとなるBMW X5やボルボXC90の販売台数と比較して、25%程度しか売れなかったのだ。
だが米国では様子が異なり、メルセデス・ベンツGLEの2倍以上の台数を販売している。レクサスにとってRXは重要なモデルであり、全世界の売上の20%を占めている。また大型SUVの中では、ハイブリッド化のパイオニア。2005年から選択肢として存在してきた。
ハイブリッド技術は、個性的なデザインとともに、RXの特徴の1つとなっていた。だが4世代目となったレクサスRXも、今年で誕生から4年が経過。ライバルモデルもハイブリッド化が進む中で、マイナーチェンジで競争力を高める時がやってきたようだ。
フロントとリアのバンパーのデザインが新しくなり、スポーティーなイメージを高めるためにマフラーカッターの配置も変更を受けている。フロントグリルもUXやESなどと雰囲気を合わせてきた。
操縦性を高めるために、シャシーまわりにも改善を与えた。サスペンションの設定を見直し、シャシーの接合部分に用いられる接着剤を増量して剛性をアップ。アンチロールバーもよりねじれにくいものとなった。インフォテインメント・システムはアップル・カープレイやアンドロイド・オートに対応している。
快適性はそのままに明確に操縦性は改善
ヘッドライトには、世界初となるブレードスキャン・アダプティブ・ハイビームを採用。高速回転するブレード状のミラーにLEDの光を反射させ、光軸を調整するというもの。アウディQ7などに搭載されているLEDのマトリックス・ヘッドライトにかわる技術。
その結果、より細かく遠くへの照射が可能となる。道路脇の歩行者の発見を容易にするとともに、対向車には眩しくないように、光の照射角度を細かく調節できるシステムだ。
レクサスが狙った通り、マイナーチェンジ前のRXと比較すると明確に操縦性は良くなっている。依然として走行性能で劣る重たいSUVに変わりはないが、コーナーリング時の身のこなしに繊細さが増したように感じる。
ステアリングフィールも自然でリニアなものとなり、郊外の道や市街地であっても、より運転する満足感は高められた。大型SUVに5種類ものドライビングモードは不要にも思えるが、「スポーツS」モードは、カーブの続く道でも運転を楽しむことができる丁度いい味付け。
だがBMW X5やボルボXC90と同等のダイナミクス性能を得ているわけではない。レクサスが重要視しているのは快適性。大型のラグジュアリーSUVほど、居心地の良さを味わうのに適したクルマはないとも思う。
Fスポーツの場合は標準装備となるアダプティブ・ダンパーと、新しいアクディブ・コーナリングアシストのおかげもあり、乗り心地は大きな魅力。コーナリング時のアンダーステアを抑制し、操舵感の印象も高めている。