ロードテスト ルノー・メガーヌRS ★★★★★★★★☆☆

公開 : 2019.11.02 11:50  更新 : 2021.03.05 21:34

意匠と技術 ★★★★★★★★★☆

先代がそうだったように、この3代目トロフィーRは、ベースとなるトロフィーに対してパワーもトルクも上積みされていない。メガーヌのヒエラルキーで言えば、頂点と、その直下にある2台に、エンジンスペックの差はないのだ。

ルノー・スポールの1.8L直4ターボは、アルピーヌA110にも搭載されるが、このトロフィーとトロフィーRに積まれるのは最高出力300ps、最大トルク40.8kg-mをマークする仕様だ。6速MTとトルセンLSDを介して前輪を駆動するフォーマットが変わらない以上、このトルクはもはや扱える限界に達している。DCT仕様があれば、42.9kg-m版ユニットが使えるのだが。

エンジンはベースであるトロフィーと何ら変わりはない。
エンジンはベースであるトロフィーと何ら変わりはない。    LUC LACEY

しかし、3ペダルは重量軽減に貢献する。それこそ、トロフィーRをスペシャルモデルたらしめるためのキーとなる要素だ。このほか、後席を取り払って25.3kg、アクラポヴィッチのチタンエキゾーストで7kg、カーボン複合材のボンネットで8kg、カーボンのリアディフューザーで2.3kg、薄肉ガラスのリアウインドーで1kg、リアワイパーの排除で3kgと、軽量化メニューは多岐に渡る。

それらをリストアップしていくと、ひときわ大きな数字に行き当たる。4コントロールこと、ベースモデルで賛否両論あった四輪操舵システムのオミットで、32kgを削っているのだ。こうした積み重ねで実に130kgを削ぎ落とし、空車重量は最軽量仕様で1306kgというのがルノーの発表だ。ところが、テスト車の実測値は満タンで1280kgと、なぜか公称値よりも軽かった。

ディエップのエンジニアたちはまた、シャシーとサスペンションにも力を注いだ。フロントがダブルウィッシュボーン、リアがトーションビームという基本的な形式は変わらない。だが、オーリンズのデュアルフローバルブこと調整式ダンパーと、軽量なスプリングを装備する。

前輪のネガティブキャンバーは1.05°増し、コーナリング時の接地面拡大を図った。タイヤは、スペシャルなコンパウンドを用いたブリヂストン・ポテンザS007が標準装備される。また、新デザインのカーボンディフューザーと全面にパネルが張られたアンダーボディはダウンフォースを生み、355mmディスクと42mmピストンのキャリパーを備えるブレンボ製ブレーキシステムが制動力を高める。

テスト車はニュルブルクリンク・レコードエディションと銘打たれた仕様で、さらに装備が充実。19インチホイールは、後席を取り外したスペースに積み込める標準仕様の鍛造アルミ版に加え、カーボン版もセット。ブレーキはフロントにゴールドのキャリパーとカーボンセラミックディスクを装着。ディスク径は390mmに拡大されるが、それでも1枚あたり1kgの軽量化を達成している。

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