ロードテスト ルノー・メガーヌRS ★★★★★★★★☆☆

公開 : 2019.11.02 11:50  更新 : 2021.03.05 21:34

操舵/安定性 ★★★★★★★★★☆

今回、オーリンズの10段階調整式サスペンションを備えるトロフィーRをテストできた。サーキットでのハンドリングテストでは、低い車高とルノーのリコメンドするセッティングで走ったが、公道テストでは公道向けの規定値で行った。

公道向け設定では、メガーヌRSトロフィーに対し、しなやかさやバンプのある道での高速安定性の面で、遅々たるものだが価値ある進歩を遂げている。もっとも、このクルマでは真っ先に求められる要件ではないだろうが。このクルマはたしかにハードコアだ。だが、ルノーがこのサスペンションに注ぎ込んだ費用は、すばらしく多才な運動性能というかたちでみごとに実を結んだ。

ハンドリングは、これ以上を望めないほどの完成度だ。
ハンドリングは、これ以上を望めないほどの完成度だ。    LUC LACEY

前輪のネガティブキャンバーは2°を超えるが、バンプステアにはよく抗い、タイヤを取られにくくもあり、不整路面での高速走行時にも安定性が損なわれていない。ダンピングは硬く、サスペンションのトラベルは明らかにショートだが、通常のメガーヌRSより巧みな動きをみせる。

サーキットで、これまた最適な設定で走らせると、やはりほかのメガーヌRSとは異なる。コーナリングはよりフラットなフィールで、クイックにターンするとじつに歯切れよくも腰が座っている。ステアリングフィールは自信満々に操れるもので、四輪操舵が元凶のあいまいさや意外性はここには存在しない。

横方向のグリップは余裕たっぷりで、コーナリング中のスタビリティの高さも同様。それにより、アペックスをこの上ないほど速く駆け抜ける。ハンドリングのアジャスト性は、高速域での根を張ったような安定性と引き換えに多少は犠牲となっているが、ホットハッチにありがちなインスタントで得やすい楽しさや、とくに限界域でのおもしろみを求めるなら、このトロフィーRにはフラストレーションを感じる時があるかもしれない。

とはいえそれ以外の状況では、これはドライバーに息もつかせず、前輪駆動のハッチバックをこれほどハードに走らせられるのかという大きな驚きをもたらすクルマだ。その驚きは、ラップを重ねるたびに感じさせられる。

関連テーマ

おすすめ記事

 
最新試乗記

人気記事