ディラーはカーシェアのハブにも PSAグループ EVによる構造変化の考え方
公開 : 2019.10.31 08:30 更新 : 2021.03.05 21:43
プジョーやシトロエンが属するPSAグループは、EVの構造のシンプルさが理由となり、販売後の収益性が大きく減じると考えています。一方で、正規ディーラーの新しいあり方にも踏み込んだ発言をしています。
EVの台頭でアフターサービスに大きな影響
プジョーやシトロエンが属するPSAグループで、電装やコネクテッド技術を取りまとめるヘレン・リーズによれば、EVが台頭することで、自動車業界に大きな影響を与えるという考えを示した。
「EVは(エンジンを搭載したクルマと比べて)極めてシンプルです。必要な部品も少なく、生産時間も短縮されます。つまり、販売後のメンテナンス時間も短くなります。そのため、わたしたちはシェア・モビリティなど多様化する分野にも力を入れています」
PSAグループにはプジョーやシトロエンだけでなく、DSとオペルというブランドも保持しており、フランス・パリではフリー2ムーブと呼ばれるカーシェア・サービスを展開している。550台のクルマをスマートフォンのアプリで共有して利用できる。
リーズは、英国で開かれたオート・フューチャーズというイベントで次のように述べている。「英国にはモビリティ・サービスはまだ多くありませんが、クルマの所有権やリースに代わるサービスとして、フリー2ムーブなどのサービスを提供しています」
「グループ内でのクルマの共有を可能にする、コンピューター通信技術も用意しいています。新しいクルマは、デジタルキーが用いられ、自分のクルマを他の人に遠隔で利用させることも可能です」
ディーラーはカーシェアのハブ機能になり得る
短期的にはクルマの販売後の収益は低下するものの、EVの販売増加は別の機会をもたらすことも加えた。「現在のエンジン車のオーナーには、クルマを自分で修理する人もいます。しかし、独立した修理工場ではEVへ対応できる体勢が充分に整っていない場合もあります。EVが故障すると、ディーラーへ依頼する傾向が高くなるかもしれません」
「短期的には、販売後のサービスは、お互いの結びつきや姿勢も証明できると考えています。主要な自動車メーカーに食い尽くされるのでは、という抽象的な不安も取り除けるでしょう」
リーズは、販売後の収益性はEVの市場普及にも依存すると考えている。「長期的に見ると、EV化によって部品点数も整備時間も短くなることは事実。プジョーe-208のサービスプランを例に上げると、エンジンを搭載した208と比較して、30%以上安価です」
「所有車という視点で見ると、総コストの構築につながる数字ではあります。一方で長期的に見れば、自動車ディーラーはEVのレンタルサービスのハブとして機能する可能性もあります」
最後にリーズは、EVのパッケージの1つとして、ガソリンやディーゼルエンジン車を貸し出すサービスを考えていることにも触れた。
EVとなるプジョーe-208は来年初めには顧客の元へと届けられる予定。2025年までにはすべてのPSAグループのクルマには、ハイブリッドを含む何らかのかたちで電動化技術を搭載される計画となっている。