プラグインハイブリッドSUV対決 アウディQ5 vs ボルボXC60 勝因は高い完成度 前編
公開 : 2019.11.24 07:50
ストレートでのパフォーマンス 見事な加速
フロントに搭載された303psと30.1kg-mを発揮する2.0L 4気筒エンジン(優れたパフォーマンスを実現すべくターボとスーパーチャージャーが組み合わされている)がフロントタイヤを、リアアクスル上に設置された88psのパワーと24.5kg-mのトルクを発揮する電気モーターがリアを駆動する。
少なくともこれがスタンダードスペックだが、今回のテスト車両にはポールスターによるソフトウェアの変更が行われ、さらなる機能が追加されていた。
この745ポンド(10万4000円)のオプションは、エンジンのパワーとトルクをそれぞれ317psと32.4kg-mへ向上させるとともに、スタンダードスペックでは5.5秒だった0-100km/h加速を5.4秒へと短縮することに成功している。
確かにこうした数値はこの2台の環境性能に優れたモデルというキャラクターには不似合いかも知れないが、少なくともこうしたスペックはこの2台のストレートでのパフォーマンスには相応しい。
つまり、この2台はガソリンエンジンの力を借りなければ、電気モーターによる見事な加速は見せてくれるものの、決して驚くほど速いという訳ではないということだ。
ボルボの11.2kg-mを上回る35.7kg-mのトルクを発揮するアウディの電気モーターは、アクセルペダルを思い切り踏み込んでみればより強力な加速を味わわせてくれるが、レスポンスとリニアニティに関しては互角と言えるだろう。
ハイブリッドモード 違いは明確
通常のハイブリッドモデルとしてガソリンエンジンが始動するとこの2台の違いはより明確になる。そして、ここでその強みを見せるのはアウディだ。
XC60もハイブリッドモードへの移行そのものはスムーズだが、スロットルパダルを踏み込むことで目覚めるエンジンによってより滑らかに加速していくのはQ5のほうだ。
ボルボのエンジンが洗練されていないわけではないが、そのパワーデリバリーはQ5よりもやや唐突に感じられる。
これにはふたつの理由がある。ひとつ目は一旦始動するとアウディよりも盛大なサウンドを発するボルボのエンジンだ。
決して耳障りという程ではなく、その遠くでさえずるようなハスキーなサウンド自体も悪くはないが、このエンジンは確実に自らが動き出したことをドライバーの耳へと伝えて来る。
ふたつ目の理由はより複雑だ。XC60の電気モーターはQ5ほどのトルクを発揮しないために、アクセルペダルを踏み込んでからの加速にも遅れが見られるとともに、エンジンの介入もより明確に感じられる。
さらに、ボルボのエンジンがもたらす加速はアウディのEA888型ユニットほどリニアではないために、全体として見れば見事なまでの優雅さというものを感じることが出来ない。
このボルボも印象的だが、より優れた仕上がりを見せるのはアウディであり、EVモードでの走行可能距離さえ気にしなければ、XC60を十分リードする走りも可能だ。