プラグインハイブリッドSUV対決 アウディQ5 vs ボルボXC60 勝因は高い完成度 後編
公開 : 2019.11.24 16:50
アウディからQ5のPHEVモデルが登場したことを受け、ボルボXC60とのプレミアムなプラグインハイブリッドSUV対決に連れ出しました。同じような顧客層に向けて生み出された2台ですが、その中味には明確な違いがあるようです。番外編ではカンパニーカーの節税対策をご紹介します。
クワトロの実力 アンダーステアには注意
滑りやすい路面で思い切りアクセルを踏み込んでみると、ボルボではガソリンエンジンからのトラクションを上手く路面へと伝達することが出来ずにフロントタイヤが空転することとなるが、対照的にQ5であれば何事もなかったかのように前進を続けるだけだ。
一度動き出せばこの2台はそれぞれに印象的なほどの速さを見せるが、ガソリンエンジンに頼り過ぎると燃費が急速に悪化することには注意が必要だ。
郊外では十分とは言えないEV航続距離しか持たないバッテリーが空になると、今回のテストにおけるこの2台の平均燃費は10km/L以下へと落ち込んでいる。
さらに、確かに直線では十分な速さを見せるが、コーナーでの動力性能は決して褒められたものではなく、ヘビー級の車重を持つこの2台は、あっという間にアンダーステアへと移行する。
アウディのほうがアンダーステアへと移行する限界はやや高いかも知れないが、その差はわずかなものでしかない。
大きなロールを伴い、ステアリングフィールも物足りないこの2台だが、それでもアウディの方がやや手応えを感じさせるステアリングラックのお陰で、ダイナミクス性能にわずかながらも自身を感じることが出来るかも知れない。
だが、例えそうだとしても、ドライバーはこの両者にとってより相応しいのは、もっと落ち着いた走りだという事実にすぐに気付かされるだろう。
キャビンは見事 高い完成度
ボルボのエアサスペンションは姿勢変化を見事に抑え込むことで、快適で柔らかな乗り心地を実現することに成功しているが、荒れた路面での弾むような様子にはやや不満が残る。
さらに、その素晴らしいデザインの21インチアルミホイールも路面不整をより際立たせ、アウディの20インチホイールに比べより大きなロードノイズを発生させていた。
金属バネによるパッシブ型サスペンションを採用したQ5はより引き締まったフィールだが、そのお陰でこのクルマの乗り心地はボルボよりも上手くコントロールされているように感じる。ボルボほど柔らかくはないかも知れないが、だからと言って決して不快なものではない。
両者ともにキャビンのデザインとフィールは素晴らしい。
ボルボはまるでラウンジのような雰囲気を感じさせるが、アウディもそのスポーティなキャラクターに相応しく、優れたテクノロジーを感じさせる洗練されたクールなデザインで負けてはいない。
そして、そのルックスや触り心地はそれぞれ強い印象を残してくれた。
では全般的な評価はどうだろう?
純粋なダイナミクス性能では両者とも特に印象深い訳ではないが、洗練され、快適で速さも兼ね備えたプレミアムなプラグインハイブリッドとして見れば、両者ともにそれぞれ興味深い存在だ。
それでも、1台のクルマとしてみた場合、今回のテストでより高い完成度を感じさせたのはアウディだった。
もちろん、ボルボよりも圧倒的に手ごろな価格というのもその理由だが、それでもこのクルマには見事な高級さと落ち着き、そして十分納得できる確かなダイナミクス性能が備わっている。