新型ボルボS60日本発売 T5インスクリプション試乗 V60の4ドア・セダン版、長距離ツアラー的
公開 : 2019.11.05 14:00 更新 : 2022.12.12 21:29
ボルボS60、新型に試乗してみると
1968ccの直噴4気筒DOHC16バルブ+ターボチャージャーのガソリン・ユニットは最高出力254ps/5500rpm、最大トルク35.7kg-m/1500-4800rpmを発揮する。組み合わされるのはアイシンAW製の8速オートマティックである。
SPAは前ダブル・ウィッシュボーン、後ろインテグラル・リンクで、リアがリーフ・スプリングという特徴を持っている。乗り心地は外観に似つかわしい。
第一印象は、はっきり硬い。スタンダードの18インチに対して、オプションの19インチ・ホイールということもある。235/40サイズのコンチネンタル・プレミアムコンタクト6には、ボルボ専用開発であることを記す刻印が入っている。
タイヤのあたりは硬めだけれど、V60よりストローク感がある、という声も試乗会の会場で耳にした。
セダン・ボディはその構造上、ワゴンより堅牢なはずで、実際、十分しっかり感があり、想定積載量はワゴンより小さいから足回りも当然それに合わせてある。
そう考えれば、この指摘はうなずける。試乗車は純然たるメカニカル・サスペンションである。FOUR-Cと呼ばれる可変ダンピングの設定もある。要チェックである。
大舵角が必要な、上りのRの小さなコーナーだと、ときにハイパワー・ターボFWD特有のクセが出る。ハイパワー・ターボFWDなのだから仕方がない。
ガバチョとアクセルを踏み込むと、キックダウンし、大トルクが一気に押し寄せる。ステアリング・フィールとボディの姿勢に微妙な変化をもたらす。
トランキーロ! あっせんなよ。こういう場面でガバチョとアクセルを開けてはいけない。
以上はいわば特殊なケースで、中高速コーナーにいたれば、気持ちのいいハンドリングを堪能できる。ロールはほとんどしない。それだけ足腰がファームなのだ。
ワイド・トレッドのおかげもあって荷重移動は穏やかで、4輪で接地している感がある。加減速時の姿勢変化も皆無で、安心してコーナーに飛び込んでいける。
ドライブモードをダイナミックにすると、スロットル・レスポンスやギアのシフト・スピードが速くなる。ステアリングも若干重くなる。4気筒ツインカム・ターボは3500rpmあたりから、蜂の羽音のような軽快なサウンドを奏でる。
T5インスクリプション、長距離ツアラー的
短時間の試乗ながら、新型ボルボS60 T5インスクリプションは、長距離ツアラー的性格の中型4ドア・セダンである、という印象を得た。
もっとも、ワゴンにせよ、SUVにせよ、ロング・ドライブを得意種目としているのはボルボ全体に言えることだ。根本のところは共通している。新しい発見でもなんでもない。
新型S60 T5インスクリプションはそこにセダンならではのスポーティなスパイスを加えた。問題は、それがAUTOCAR読者諸兄のような走り屋エンスージァストにとってどうなのか? ということだろう。
トランキーロ! あっせんなよ。結論を出すにはちょっと早い。新型S60には、前述したようにV60の日本仕様には設定のない190ps、30.6kg-mのT4モメンタムがエントリー・モデルとしてある。FWDセダンとしては、こちらのほうがバランスがいいかもしれない。
さらに上位モデルとしてハイブリッドのT6ツインエンジンがあり、旗艦としてわずか30台の限定ながら、T8ポールスター・エンジニアードもある。
T8のターボ+スーパーチャージャー付き2Lガソリン・エンジンは強化されている。これらの試乗記をお読みになってから、あれこれお考えになってもよいではないか。
メルセデス・ベンツCクラスやBMW 3シリーズ、アウディA4、ジャガーXE等との比較テストも行われるだろう。
ボルボ独自の運転支援機能「インテリセーフ」を全モデルに標準装備することも特長のひとつで、安全性を重視するひとには得難い装備だろう。
新世代ボルボの締めくくりとして登場した新型S60にはいろんなモノが詰まっている。その一番の特長は、メイド・インUSA、ボルボのアメリカン・ドリームを載せていることなのだ。
ボルボS60 T5インスクリプションのスペック
価格:614万円
全長:4760mm
全幅:1850mm
全高:1435mm
最高速度:-km/h
0-100km/h加速:-秒
燃費:12.9km/L(JC08)
CO2排出量:181g/km(JC08)
車両重量:1660kg
パワートレイン:直列4気筒1968ccターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:254ps/5500rpm
最大トルク:35.7kg-m/1500-4800rpm
ギアボックス:8速オートマティック