ロードテスト BMW 1シリーズ ★★★★★★★☆☆☆

公開 : 2019.11.09 11:50  更新 : 2019.12.10 16:31

結論 ★★★★★★★★☆☆

この3代目1シリーズに、BMWがライバル車たちを打ち負かそうとした意図はあまり感じら得ない。しかし、改めてプレミアムハッチ購買層の興味を引こうと狙い、このカテゴリーのクルマにベストなメカニカルレイアウトを選んだことで、フォルクスワーゲン・ゴルフと競合するBMWが、歴代では望み得なかったほどの販売面の成功を収める可能性が見えてきた。

スタイリングは、おなじみのBMWらしいデザインではあるものの、ミュンヘンがもっと独創的なルックスに仕立てなかったのが残念。また、マテリアルの品質が、もう少し3シリーズや5シリーズに近づけられていれば、という点でも悔やまれる。

BMWのエントリーモデルは、FF化によって得たものは多く、失ったものは少ない。
BMWのエントリーモデルは、FF化によって得たものは多く、失ったものは少ない。    LUC LACEY

しかし、なにより惜しいのは、BMWが5ドアのFFハッチの基準より、運動性も俊敏なフィーリングもわずかに高めるにとどめたことだろう。そうはいっても、このクルマの購買層に、その仕上がりへの不満を訴える声はまずないだろう。それについては賭けてもいい。

大多数が、新型1シリーズの乗り心地やハンドリングにおける完成度やドライバビリティが、先代を上回るものだと思うはずだ。室内の先進装備の多さや日常での使い勝手のよさ、広がったスペースなども嬉しいサプライズである。

プレミアムブランドのプロダクトが2019年の現在において成功を収めるには、走りに優れる以上の強みが必要だ。そして新型1シリーズは、いまや先代までのモデルよりもはるかに完成度を高めているのである。

担当テスターのアドバイス

マット・ソーンダース

目新しいアンビエントライトというのはあまり好きになれないものだ。ただしこの1シリーズの、内装トリムを暗い中で目立たせる、ライン状のバックライト式を採用したそれは間違いなく魅力的に見える。シンプルで、精密で、控えめな演出。まさにBMWらしさがそこにある。

サイモン・デイヴィス

マニュアル変速はレバーで行うタイプだが、DCTにもM135iの8速ATのようにパドルシフトをつけてほしい。それこそ、BMWにふさわしいトランスミッションだと思うのだが。

オプション追加のアドバイス

ローダウンされたMスポーツサスペンションさえついていなければ、新型1シリーズはより円熟味のあるゴルフのライバルたりうるクルマになる。選ぶべきはスポーツ仕様、そして、リーズナブルな価格のテクノロジーパッケージの1と2、あとはアダプティブダンパーをつけたい。

改善してほしいポイント

・運転席のシートを、高さ調整でもう少し低くできればいいのだが。
・DCTは、8速AT並みの賢くスムースなシフトができるようにしてほしい。
・エクステリアのデザインテーマは再考を。そして、キドニーグリルをこれ以上大きくするのだけは絶対にやめてもらいたい。

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